打水[語句情報] » 打水

「打水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

打水の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩を返す話」より 著者:菊池寛
家を訪うた。 が、そこにはなんらの混乱の跡がなかった。塵一つ止めてない庭には、打水のあとがしめやかであった。彼は、意外の感に打たれながら、案内を乞うと、玄関へ....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
のソレより数等上である。今春あたりから粋な横町辺に並んだ格子先には、昔にかわらぬ打水に盛塩《もりじお》の気分がチョイチョイ出ている。 京橋を渡りすこし宛《ずつ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
も十人ほどの頭が見え、「山岡屋」と染め抜いた暖簾《のれん》の前では小僧がしきりに打水《うちみず》をやっていると、 「御免下さいまし」 入って来たのは百姓|体《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
五月、日盛りは過ぎたが、葭簾《よしず》の蔭で、地はそんなに焼けてもいなかったのに打水《うちみず》が充分に沁《し》みて、お山から吹き下ろす神風が懷《ふところ》に入....
空襲警報」より 著者:海野十三
露子の手からうけとり、先頭に立った。浜から義兄の家まではすぐだった。 すっかり打水をした広い庭に面した八畳の間に、立派な食卓が出ていて、子守の清がひとりで番を....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
の節などは、一体|傍目も触らないで、竹をこぼるる露のごとく、すいすいと歩行く振、打水にも褄のなずまぬ、はで姿、と思うばかりで、それはよくは目に留まらなかった。 ....
太郎坊」より 著者:幸田露伴
る。 主人は甲斐甲斐しくはだし尻端折で庭に下り立って、蝉も雀も濡れよとばかりに打水をしている。丈夫づくりの薄禿の男ではあるが、その余念のない顔付はおだやかな波....
次郎物語」より 著者:下村湖人
うな気になった。 そして、いよいよ夕方になって、父を迎えるために、みんなが庭に打水を始めた時には、次郎は珍しく恭一のあとについて、柄杓で庭石に水をまいて歩いた....
夕凪と夕風」より 著者:寺田寅彦
るような感じを救うためには猿股一つになって井戸水を汲み上げて庭樹などにいっぱいに打水をするといい。葉末から滴り落ちる露がこの死んだような自然に一脈生動の気を通わ....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
如きも一枚のかるた札がはね飛ばされて梯子段を勢いよくおちてゆく瞬間の写生で有る。打水やずんずんいくる紅の花 静廼 (9) かはほりの灯あふつや源氏の間 ....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
しらい、下草の様子、何やかや申分なく、鞍馬と御影の飛石に敷松葉から霜除けの飾縄、打水を致し洗い上げてあります、土廂が深くなっている六畳の茶の間が有りまして、其処....
茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
。座敷はしんと静まり返りました。 夕風が立って来たか、青簾はゆらゆら揺れます。打水した庭にくろずんだ鞍馬石が配置よく置き据えられ、それには楚々とした若竹が、一....
雪柳」より 著者:泉鏡花
踞んで、両膝で胸を圧えた。お端折下の水紅色に、絞りで千鳥を抜いたのが、ちらちらと打水に影を映した。乱れた姿で、中形|青海波の浴衣の腕を露呈に、片手に黒い瓶を抱き....
夏の町」より 著者:永井荷風
の烟《けむり》になお更《さら》薄暗く思われる有明《ありあけ》の灯影《ほかげ》に、打水《うちみず》の乾かぬ小庭を眺め、隣の二階の三味線を簾越《すだれご》しに聴く心....