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扶持
「扶持〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
扶持の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
たのは云うまでもない。そのほか、越中守を見捨てて逃げた黒木|閑斎《かんさい》は、
扶持《ふち》を召上げられた上、追放になった。
―――――――――....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
住めるその母は、箸《はし》を控えて渠が饋餉《きしょう》を待てり。白糸は月々渠らを
扶持すべき責任ある世帯持ちの身となれり。 従来の滝の白糸は、まさにその放逸を縛....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
転《るてん》するのは難儀のことと察しられるから、村方一同はかれに代って母の一生を
扶持すべしとあった。 これでこの一件も落着《らくぢゃく》した。人間の幸不幸は実....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
せた。 この時代の下女奉公として、年に三両の給金は法外の相場である。三両一人|
扶持《ぶち》を出せば、旗本屋敷で立派な侍が召し抱えられる世のなかに、ぽっと出の若....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
三羽、五、六羽、総勢すぐって十二、三羽より数が殖えない。長者でもないくせに、俵で
扶持をしないからだと、言われればそれまでだけれど、何、私だって、もう十羽殖えたぐ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
よ、嬶のおこるのも無理はねいだよ、婆さん。今年は豊作というにさ。作得米を上げたら
扶持とも小遣いともで二俵しかねいというに、酒を飲んだり博打まで仲間んなるだもの、....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
アない、わ。青森の人で、手が切れてからも、一年に一度ぐらいは出て来て、子供の食い
扶持ぐらいはよこす、わ。――それが面白い子よ。五つ六つの時から踊りが上手なんで、....
「食魔」より 著者:岡本かの子
にこどもが生れると蛍雪は家が汚れるといって嫌な顔をした。 「ちっとばかりの宛がい
扶持で、勝手な熱を吹く。いずれ一泡吹かしてやらなきゃ」 それかといって、急にさ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
合せた。……一人腕が落ちた。あら、胴切。また何も働かずとも可いことを、五両|二人
扶持らしいのが、あら、可哀相に、首が飛びます。 夫人 秀吉時分から、見馴れていな....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
る。 町中が、杢若をそこへ入れて、役に立つ立たないは話の外で、寄合持で、ざっと
扶持をしておくのであった。 「杢さん、どこから仕入れて来たよ。」 「縁の下か、廂....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
そりゃ、は、とても駄目でござる。こんなことがあろうと思わっしゃればこそ、旦那様が
扶持い着けて、お前様の番をさして置かっしゃるだ。」 お通はいとも切なき声にて、....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
の家来の子で、おとうさんもおかあさんもたいへんよいかたであったが、友だちの讒言で
扶持にはなれて、二、三年病気をすると二人とも死んでしまったのだ、それであとに残さ....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
セーヌ河の中の島でむく犬のリックとラックに向うから遊で飽かれて仕舞った老人で食
扶持の年金は独逸の償金で支払われて居るのがエッフェル塔を指してこういった。 「そ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
の被害地の恢復に幕府は三十五年間から七十年余もかかったところがある。幕府は全国の
扶持取りから百石につき二両ずつ上納させて救助復興の資金にあてた。 原駅は富士の....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
人だと仰しゃるの? ついでに私も精神病院へ入れておしまいになるといいわ、一生涯の
扶持をつけて――』 智恵子の声は剣のように鋭く、伯爵の胸を刺したらしかったんで....