»
抑
「抑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
よりもむしろ床の間の楊柳観音《ようりゅうかんのん》を偸《ぬす》み見ながら、やはり
抑揚《よくよう》に乏しい陰気な調子で、とぎれ勝ちにこう話し始めた。
....
「影」より 著者:芥川竜之介
ぎあな》を洩れるそれであった。
陳はほとんど破裂しそうな心臓の鼓動《こどう》を
抑えながら、ぴったり戸へ当てた耳に、全身の注意を集めていた。が、寝室の中からは何....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
っていても、妻の方ではどうしても僕を愛す事が出来ないのだ、いやこれも事によると、
抑《そもそも》僕の愛《アムウル》なるものが、相手にそれだけの熱を起させ得ないほど....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
。いや、達せずには置かないと思った。殊に甚太夫はそれがわかった日から、時々心頭に
抑え難い怒と喜を感ぜずにはいられなかった。兵衛はすでに平太郎《へいたろう》一人の....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
中へ踊《おど》り上ろうとした。それはまた左右の男女《なんにょ》たちの力もほとんど
抑えることの出来ないものだった。凄《すさま》じい古千屋の叫び声はもちろん、彼等の....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
《あざけ》るように何か言い放った。含芳は確かにはっとしたと見え、いきなり僕の膝を
抑えるようにした。しかしやっと微笑したと思うと、すぐに又一こと言い返した。僕は勿....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
学校の夏服に白い筋の制帽をかぶったまま、膝に挟《はさ》んだトランクを骨太な両手に
抑えていた。
「やあ。」
兄は眉《まゆ》一つ動かさずに、洋一の顔を見下した。
....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
のはおやめなさい。」
しかし女は古帷子《ふるかたびら》の襟を心もち顋《あご》に
抑《おさ》えたなり、驚いたように神父を見ている。神父の怒《いかり》に満ちた言葉も....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
もん》へ、ふだんから特に目をかけている。嘗《かつて》乱心者《らんしんもの》を取り
抑えた際に、三右衛門ほか一人《ひとり》の侍《さむらい》は二人《ふたり》とも額に傷....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
さっきのよりさらに一嵩《ひとかさ》大きい巌石の側へ歩み寄った。それから両手に岩を
抑《おさ》えて、しばらく呼吸を計っていたが、たちまちうんと力を入れると、一気に腹....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
目見るが早いか、女は何の取付《とっつ》きもなく、和尚の前へ手をついて、震える声を
抑えながら、「私《わたし》はこの子の母親でございますが、」と、思い切ったように云....
「少年」より 著者:芥川竜之介
に保吉の隣りへ腰をかけた。そのまた「ありがとう」も顔のように小《こ》ましゃくれた
抑揚《よくよう》に富んでいる。保吉は思わず顔をしかめた。由来子供は――殊に少女は....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
していることも確かであります。即ち『それだけだ』と言う言葉は頗《すこぶ》る一揚一
抑の趣に富んでいると申さなければなりません。が、更に微妙なことには第三に『それ』....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
あいつは泥棒だ! 大詐偽《おおさぎ》師だ! それよりもお前、ここへ来て俺の体を
抑《おさ》えていてくれ。」
彼等は互に抱《だ》き合ったなり、じっと長椅子に坐っ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
動物を捕えたりすると、それを殺す。しかし、ただそれだけでは、われわれの中にある、
抑えることが出来ない殺戮の要求を満たすに足りない。われわれには人さえ殺す必要があ....