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投げ棄てる
「投げ棄てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
投げ棄てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
っきは、ごめんね。あの歌の意味はね、」と言いかけたら、 「もういい。」と、ぽいと
投げ棄てるように言って、さっさと行ってしまった。実に、異様にするどい口調であった....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
の赤ん坊の尻を拭い上げて、その粘液の全部を前垂れにグシャグシャと包んで上り口から
投げ棄てると、そのまま臭気芬々たる右手を頭山満氏の前に差出した。 「ヘイ。あなた....
「南北の東海道四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
たぞ、窃って逃げた薬は、これに」 「これは忝ない」伊右衛門は貼りかけていた提燈を
投げ棄てるようにして、長兵衛から小風呂敷の包みをもらい「して、小平めは」 其処....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
うだと言うのではない。俺の心がそうだったのだ。――実は、すべてを噴火口の中に俺は
投げ棄てるつもりでいた。身についてるすべて、心についてるすべて、内臓についてるす....
「入営する青年たちは何をなすべきか」より 著者:黒島伝治
アジー解除した後にのみ、その世界史的見地に叛くことなく、あらゆる武器を塵芥の山に
投げ棄てることが出来る。そしてプロレタリアートは、また疑いもなく、このことを成遂....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
乙女達の方をふり向いて、思案する。突然、衝動的に、頭の葵の鬘をむしり取り、ぽいと
投げ棄てるや、足早にもと来た右方へ逆戻り。 女1 (右より、憂鬱顔で)ただ、妙に....
「沈黙の水平線」より 著者:牧逸馬
難破船らしい船影を認めたとか、或いは漂流貨物、非常時に船足を速めるために、犠牲に
投げ棄てる所謂打荷の破片――そういった、難船につきものの手懸りも、何一つ発見され....
「飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
ある筈だが、今年の値はどうでした?」 「てんで問題になりませんでした」と、青年は
投げ棄てるように答えた。「二歳子の一等いい馬が、たまに百五十円ぐらいに売れたが、....
「本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
が、この語《ことば》には、二つの意味が含まれていた。即ち第一は投《はふ》るの意(
投げ棄てる事)で第二は屠《ほふ》るの意(截り断つ事)である。しかして時間的に言え....
「古事記」より 著者:太安万侶
の小門《おど》のアハギ原《はら》においでになつて禊《みそぎ》をなさいました。その
投げ棄てる杖によつてあらわれた神は衝《つ》き立《た》つフナドの神、
投げ棄てる帶で....
「春心」より 著者:田中貢太郎
たようにそのままぐったりとなってしまった。 「くそ」 広巳は手にしていた下駄を
投げ棄てるなり、その蛇の胴体をむずと掴んで客座敷の縁側の方へ走って往った。 「あ....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
る日本全国の動物中で、首都の鼠族ほど食糧に屈托せぬものはないといってよい。市民が
投げ棄てる食物の余りは、彼等以外の者には到底手の届かぬ、ドブや石垣の蔭にばかり、....