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抗う
「抗う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抗うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「職工と微笑」より 著者:松永延造
の落ち度のために、あの落ち度以来私気がひるんでいるんですわ。私は何うしても貴方に
抗う事が出来ませんでした。そして、今では……一生でも貴方と一緒に居たいと云う儚い....
「山椒大夫」より 著者:森鴎外
を押しつける強みがあって、母親はそれに抗《あらが》うことが出来ぬからである。その
抗うことの出来ぬのは、どこか恐ろしいところがあるからである。しかし母親は自分が大....
「バルザックについてのノート」より 著者:宮本百合子
るということについて。 「二世紀(十五・六世紀、ルネッサンス)というものは権力に
抗う人々が『自由意志』の怪しげな主義を築くために費された。更に二世紀(十七・八世....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
ったから。」 「まだ電燈のついている電車は、印袢纏や菜葉服で一杯だった。皆寒さに
抗うように赤い顔をしていた。味噌汁をかきこみざま飛んで来るので、電車の薄暗い電燈....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
たち。こちらは文字のある先生方じゃないか。下衆のくせに寄ってたかって、先生方に反
抗うなんて、恥知らず奴が……。」 「滅相な。手前どもがこの旦那衆に反
抗うなんて、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「だって、あれ、あれ、助けてくれ、と云うものを。鬼神に横道なし、と云う、情に抵
抗う刃はない筈、」 枢をかたかた、ぐっと、さるを上げて、ずずん、かたりと開ける....
「決闘」より 著者:神西清
く、山々もまた恋せよとささやく。……で、キリーリンが言い寄った頃には、彼女はもう
抗う力も気持もなくて、そのまま身を任せてしまったのであった。…… いま、外国の....
「凍雲」より 著者:矢田津世子
らやの仙太親爺ときまっている。 仙太は、この町での飲み頭であった。酒にかけては
抗うものがいない。この親爺が白面で歩いているのを、町の人たちは見かけたことがない....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
い。わしが案内する。」 彼は先きに立って大股にあるき出した。小坂部はもうそれに
抗う気力はなかった。かれは牛飼いに牽かるる仔牛のように、素直に男のあとに付いてゆ....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
詰めて情熱を籠めて行動して来た生活が、まるで浮いた戯れのように顧られました。何と
抗うてみても体験で固めたこの厚い扉のように堅く寂しい男の笑顔に対しては、爪も立た....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
から来ました。
ポセイドンの波の恵、エウロスの風の力で、
フリギアの平な野から、
抗う高い背に載せて、
故郷の入江へ送り込まれた、その間の
波の止所のないゆらめき....
「三国志」より 著者:吉川英治
、誰やら一将が現われて、猛闘血戦の末、遂にその首を取って、槍先につらぬき、 「手
抗う者はみなこうだぞ」 蛮軍の兵に振り廻して見せた。 逃げるわ逃げるわ、土蛮....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
顎合図の下に、 「この内に、御不審のかかった人間が潜伏しおるとの報らせである。手
抗う者は、用捨なく六波羅へ曳くぞ。邪魔するな」 とばかり、一挙に出屋敷の内へ、....
「童話」より 著者:室生犀星
」 お俊はそう言ってきよ子を土手の上へ拉れてくるのだが、きよ子はべつだん母親に
抗うこともなく従順に尾いてきて、土手の上であそぶのだった。が、暫らくすると何時の....
「雨」より 著者:織田作之助
は変になったのか、こともあろうに、それは見習弟子であった。重さに抗ったが、何故か
抗う動作が体をしびらしてしまった。 翌日、見習弟子は哀れなほどしょげ返りお君の....