折敷[語句情報] » 折敷

「折敷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

折敷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
て、蔀《しとみ》をおろす。結び燈台へ火をつける。そうして、あの何畳かの畳の上に、折敷《おしき》や高坏《たかつき》を、所狭く置きならべて、二人ぎりの小酒盛《こざか....
」より 著者:芥川竜之介
を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷《やけど》する惧《おそれ》がある。そこで折敷《おしき》へ穴をあけて、それを提の蓋《ふた》にして、その穴から鼻を湯の中へ入....
海異記」より 著者:泉鏡花
も上の空で覚束なく、三ツばかり握飯。 潮風で漆の乾びた、板昆布を折ったような、折敷にのせて、カタリと櫃を押遣って、立てていた踵を下へ、直ぐに出て来た。 「少人....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
るや否や、剣を抜いて、頭上に翳し、ハタと窓外を睨む。 侍女六人、斉しくその左右に折敷き、手に手に匕首を抜連れて晃々と敵に構う。 外道、退くな。(凝と視て、剣の刃....
栃の実」より 著者:泉鏡花
―其処に三人の客にも酒はない。皆栃の実の餅の盆を控えていた。 娘の色の白妙に、折敷の餅は渋ながら、五ツ、茶の花のように咲いた。が、私はやっぱり腹が痛んだ。 ....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
んびりとしたものだ。私は何かの道中記の挿絵に、土手の薄に野茨の実がこぼれた中に、折敷に栗を塩尻に積んで三つばかり。細竹に筒をさして、四もんと、四つ、銭の形を描き....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
皮も餡子も、小米と小豆の生一本でござります。」 と小さな丸髷を、ほくほくもの、折敷の上へ小綺麗に取ってくれる。 扇子だけ床几に置いて、渋茶茶碗を持ったまま、....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の前に立塞がった。 「あ、危い、あなた。」 と若旦那が声を絞った。 若奥様は折敷いたままで、 (不可ません――お道さん。) (いいえ、本望でございます。) ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
各目に名を恥じて、落ちたる市女笠、折れたる台傘、飛々に、背を潜め、顔を蔽い、膝を折敷きなどしながらも、嵐のごとく、中の島|籠めた群集が叫喚の凄じき中に、紅の袴一....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
て、ふと仰がるる、那須嶽連山の嶺に、たちまち一朶の黒雲の湧いたのも気にしないで、折敷にカンと打った。キャッ! と若い女の声。魂ぎる声。 這ったか、飛んだか、辷....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、 「おつかいなさいましな。」 と、すぐに糸七が腰かけた縁端へ、袖摺れに、色香折敷く屈み腰で、手に水色の半※を。 「私が、あの……」 と、その半※を足へ寄せ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
らず、横町の怪我を見ると、我を忘れたごとく一飛に走り着いて、転んだ地へ諸共に膝を折敷いて、扶け起そうとする時、さまでは顛動せず、力なげに身を起して立つ。 「どこ....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
いばかり目の前へ、霞を抜けた極彩色。さそくに友染の膝を乱して、繕いもなくはらりと折敷き、片手が踏み抜いた下駄一ツ前壺を押して寄越すと、扶け起すつもりであろう、片....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
やや小さく見えた時と、重り合って、羽衣の袖が扇子とともに床に落ちて、天人のハタと折敷く、その背を、お悦が三つ四つ平手で打った……と私は見たが。…… 「急病だ。」....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
画いている。私は兎の係蹄の仕掛けてあるほとり、大きな石の上に三脚を立てて、片足は折敷いて、危うき姿勢に釣合をとりながら、ここの写生を試みた。 十三 ....