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「折箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

折箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
して、遠慮気兼ねのない世帯《しょたい》を張った。階下《した》は弁当や寿司につかう折箱の職人で、二階の六畳はもっぱら折箱の置場にしてあったのを、月七円の前払いで借....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
思はどうだろう。 私たちは、しみじみ、いとしく可愛くなったのである。 石も、折箱の蓋も撥飛ばして、笊を開けた。「御免よ。」「御免なさいよ。」と、雀の方より、....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
。Oという県庁所在地の市は夕飯後の適宜な散歩|距離だった。 試験所前の曲ものや折箱を拵える手工業を稼業とする家の離れの小|座敷を借りて寝起きをして、昼は試験所....
雛妓」より 著者:岡本かの子
いってかの子を二階のわたくしの書斎へ導いた。 雛妓は席へつくと、お土産といって折箱入りの新橋小萩堂の粟餅を差し出した。 「もっとも、これ、園遊会の貰いものなん....
わが町」より 著者:織田作之助
のかと、〆団治はふと他吉の喜んでいた顔を想った。 6 ある夜おそく、折箱の職人の家に間借りしている活動写真館の弁士がにやにや笑いながらはいって来て、....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
の夜明けは二時頃なので、漁夫達はすっかり身支度をし、股までのゴム靴をはいたまま、折箱の中に入って、ゴロ寝をした。 周旋屋にだまされて、連れてこられた東京の学生....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
度させい」 いかさま棄ておけない事でした。心中を遂げた筈の男女から不気味至極な折箱到来とあっては、よい退屈払いどころか、事が穏かでないのです。 打ち乗ればも....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
はこんな便利な袋さえお金を出して買う事は無駄なもったいない事で、どんな料理屋でも折箱位いはくれるというだろう。しかし洋食屋には折箱の用意はないかも知れないから彼....
死の前後」より 著者:豊島与志雄
も知れない……、」と田中は島村に囁いた。彼女の縁故としては、東京には本所で小さな折箱屋をやってる遠縁の者と、下谷で芸奴になってる姪の娘きりだった。それらの人たち....
潮風」より 著者:豊島与志雄
女は近くの町に出て、料理屋の女中になった。一年半ばかりでそこを逃げ出して、東京で折箱屋をやってる伯母を頼ってきた。伯母の家で、五年間手荒い仕事に骨身おしまず働い....
「自然」」より 著者:豊島与志雄
し、凡て人間的なものは、不調和な醜悪となるのである。野の中や泉のほとりに、弁当の折箱、新聞紙の一片、人の手にむかれた蜜柑の皮……などを見出した時は如何。人里遠い....
失われた半身」より 著者:豊島与志雄
車に乗せ、おれは他の電車で帰途についた。 途中、電車の乗換場近くで、おれは鮨の折箱を一つ手に下げた。 おれの予感はたいてい当る。果して、木村栄子が来ていた。....
次郎物語」より 著者:下村湖人
たい衝動に駆られたが、すぐ思いかえして、それを放りなげ、下駄で散々にふみつけた。折箱の隅からは桃色の羊羹がぬるぬるとはみ出した。彼はお祖母さんの頭でもふみつける....
次郎物語」より 著者:下村湖人
動を感じた。また、三四年まえに、お祖母さんが自分にかくしてしまいこんでいた羊羹の折箱を、そっと盗み出して、裏の畑で存分にふみつけてやったことを思い出し、何か武者....
次郎物語」より 著者:下村湖人
も身の縮むようなことばかりだった。とりわけ、お祖母さんが大事にかくしていた羊羹の折箱を盗み出して、下駄でふみにじった時の記憶が、膚寒いほどの思いで蘇って来た。彼....