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抜け
「抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
うとめ》のお鳥を見舞うのだった。お鳥は玄鶴の寝こまない前から、――七八年前から腰
抜けになり、便所へも通えない体になっていた。玄鶴が彼女を貰ったのは彼女が或大藩の....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
。が、黒い垢すりの甲斐絹《かいき》が何度となく上をこすっても、脂気《あぶらけ》の
抜けた、小皺《こじわ》の多い皮膚からは、垢というほどの垢も出て来ない。それがふと....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ございますまい。それからまた、女房たちを始め、侍どもの風俗が、まるで昔の絵巻から
抜け出して来たように、みやびやかになったのも、元よりの事でございます。が、殊に以....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
あの二人の女連《おんなづ》れが向うの桟敷《さじき》にいなくなった時、私は実際肩が
抜けたようなほっとした心もちを味わいました。勿論女の方はいなくなっても、縞の背広....
「河童」より 著者:芥川竜之介
膚の滑《なめ》らかな河童は容易に我々にはつかまりません。その河童もぬらりとすべり
抜けるが早いかいっさんに逃げ出してしまいました。ちょうど蚊のようにやせた体《から....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
時には知らなかったが、家《うち》には門が何重《なんじゅう》もある、その門を皆通り
抜けた、一番奥まった家《いえ》の後《うしろ》に、小さな綉閣《しゅうかく》が一軒見....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
い姿を運んで来た。勿論《もちろん》日が暮れてから、厩橋《うまやばし》向うの本宅を
抜けて来る事も稀ではなかった。牧野はもう女房ばかりか、男女《なんにょ》二人の子持....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
した。それから麦畑をぐるぐる廻る、鍵《かぎ》の手に大根畑《だいこんばたけ》を走り
抜ける、蜜柑山《みかんやま》をまっ直《すぐ》に駈《か》け下《お》りる、――とうと....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
人に渡した後《のち》、洋一は書き損じた紙を噛み噛み、店の後《うしろ》にある台所へ
抜けて、晴れた日も薄暗い茶の間《ま》へ行った。茶の間には長火鉢の上の柱に、ある毛....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ふたり》の少女だった。彼等はほとんど傍若無人《ぼうじゃくぶじん》に僕等の側を通り
抜けながら、まっすぐに渚へ走って行った。僕等はその後姿《うしろすがた》を、――一....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
その内に我々はいつのまにか、河岸の取《とっ》つきへ来てしまった。このまま河岸を出
抜けるのはみんな妙に物足りなかった。するとそこに洋食屋が一軒、片側《かたかわ》を....
「狂女」より 著者:秋田滋
りおろすわけにも行きかねたので、いささか持余したかたちだったが、やがて、彼は出し
抜けにからからと笑いだした。そして独逸語で何やら命令を下した。 するとまもなく....
「寡婦」より 著者:秋田滋
とするかのように、綿のような靄がいちめんに漂っておりました。すると、その子は出し
抜けに立ちどまって、私の手をにぎり緊めて、こう云うのです。 「あれを御覧なさい。....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
いでながら、彼はこの著書を深く固く信じていたのである。 じじつ、彼には小利口で
抜け目のないところと、単純にものを信じやすいところとが妙にまじりあっていた。不可....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
わそわと落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切りに思い出そうとしていたが、出し
抜けに、囁くような声でこう云った。 「そう、そう――だけど、あのひとのほうが髪の....