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抜け出る
「抜け出る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜け出るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
い出すような事もあった。
木村を払い捨てる事によって、蛇《へび》が殻《から》を
抜け出ると同じに、自分のすべての過去を葬ってしまうことができるようにも思いなして....
「或る女」より 著者:有島武郎
思っただけで、歯をくいしばりながらも、苔香園《たいこうえん》の表門からそっと家を
抜け出る誘惑に打ち勝った。
倉地のほうから手紙を出すのは忘れたと見えて、岡はま....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
泛んだが、実行出来ず、やっとの想いで足を引き抜くようにしながら、急いで二人の前へ
抜け出ると、素知らぬ顔をつくろってゆっくりと歩き出すのが関の山だった。そんな風な....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ました、即ち秀子が牢を脱け出たも其の結果です、牢に居ねばならぬ義務の有るのに牢を
抜け出る世間の脱獄者とは聊か違うのです、牢に居る可き筈がないのに唯法律の暴力の為....
「不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
「そこでこの爆弾の通過時間の長さじゃが、もちろん時限以内のすこぶる短時間で艦外へ
抜け出るようになっていること、それからこのゴムは爆弾で初めに穴は明くが、爆弾が通....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
的――大阪的だが、ここの関東煮が頗るうまいのも、さすが大阪である。一杯機嫌で西へ
抜け出ると、難波新地である。もうそこは法善寺ではない。前方に見えるのは、心斎橋筋....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
活する、幾千年幾万年の習慣の中に育って来て、しかもまだ、諸君のごとくにはそこから
抜け出ることのできない女である。男を奪われたと思う時の、その絶望に、何の不思議が....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
天井を抜けて釣上げられよう、とあるにもあられず、ばたり膝を支くと、胸を反らして、
抜け出る状に、裳を外。 蚊帳が顔へ搦んだのが、芬と鼻をついた水の香。引き息で、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らなかった一人で、苦労も一しお多かったかわりに、幾分か他の方より早く明るい世界に
抜け出ることにもなりました。ここで念の為めに申上げて置きますが、私を指導してくだ....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
一叩き食わされてから、また上の方に運ばれて行くと、今度は、悪血がすうっと身体から
抜け出るような気がして、恰度それが、夜が明けたと云う感じだったからさ。所が、小式....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
れにしても自分というこの女が、女賊、枕探し、邯鄲師、だから他人の寝息をうかがい、
抜け出ることも物を盗むことも、殺すことさえ出来るのに、知らぬとはいえそういう自分....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
方菊池技師は、熊狩りで鍛えた糞度胸をいよいよムキ出しにして、問題の片盤坑の鉄扉を
抜け出ると、再びそいつを鎖し、水平坑の小頭達を呼び寄せて、鎖した入口を厳重に固め....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
勝で、同時に行動する事を許さない。やがて草は笹に変った。最後の岩塊を避けて右へと
抜け出ると、急に傾斜がなくなって、漸く自分たちが国境線の尾根筋に出たことを知った....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ようか位に思っていたのである。 彼は窟に暫く棲んでいたので、岩穴から此の川辺へ
抜け出る間通を心得ていた。彼は直ちに其穴を見出して、蛇のように潜り込むと、暗い中....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
ったろうが、その頃は毎夜の様に不眠に苦しめられていて、その晩も、夜更けてから宿を
抜け出ると、海岸の砂浜に打ち揚げられた漁船の艫に腰を掛けて、何となく海を見ていた....