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抜け毛
「抜け毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜け毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
けしき》が、先方へも通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い
抜け毛を持ったなり、蟇《ひき》のつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云....
「或る女」より 著者:有島武郎
、気のきいた風体《ふうてい》の男女が忙しそうに往《ゆ》き来《き》していた。葉子は
抜け毛の丸めたのや、巻煙草《まきたばこ》の袋のちぎれたのが散らばって箒《ほうき》....
「或る女」より 著者:有島武郎
。そして顔を少し電灯のほうに振り向けてじっと自分を映して見た。おびただしい毎日の
抜け毛で額ぎわの著しく透いてしまったのが第一に気になった。少し振り仰いで顔を映す....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
鳴らしているのが聞える。 壁際に下っている鶏用の丸木枝の階子《はしご》の、糞や
抜け毛の白く黄色く付いた段々には、痩せた雄鶏がちょいと止まって、天井の牝鶏の番を....
「源氏物語」より 著者:紫式部
も皆悪くなっていて長い間のこの人の好意に酬《むく》いる物がなくて、末摘花は自身の
抜け毛を集めて鬘《かずら》にした九尺ぐらいの髪の美しいのを、雅味のある箱に入れて....
「塵」より 著者:夢野久作
のダンダラになって追いかけて行く。そのあとから白い紙キレや、藁屑や、提灯の底や、
抜け毛の塊まりが、辷り転がって行く。それはちょうど普仏戦争のように、黄色い太陽の....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
り鷹小屋にはいって、止り木の鷹と、もくねん、むかい合っていた。 餌をやったり、
抜け毛を取ってやったり、拳に乗せて、撫でたりなどして。 「先生」 「――誰だ」 ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
る。 鏡台が散らかっている。だが、お綱のものは、櫛一枚も残っていなかった。ただ
抜け毛を丸めた紙屑が、お十夜の眼に、さびしく映ったばかりである。 「やッ? ……....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
藤夜叉の乱脈な筆は、こんな意味に読みとれる。 白い紙へ、女の怨みつらみを、
抜け毛みたいにバラ撒いたかのような感情ムキ出しの墨の痕が、しどろであった。だのに....