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「抜け裏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

抜け裏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
来るか!」 「行かいでどうするッ。いざといわば仕掛けのその壁へかくれて、まんまと抜け裏へ逃げるつもりだったが、そいつを気づかれたんじゃ、八つ化け仙次も運のつきだ....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
そもこの空地に関して第一の不都合なる事は垣根のない事である。吹き払い、吹き通し、抜け裏、通行御免天下晴れての空地である。あると云うと嘘をつくようでよろしくない。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
とになったんです。そこで九月二十日の夜なかに、年造が裏口から忍び込む。その露路は抜け裏になっているので、こういう時には都合がいい。安普請《やすぶしん》の古家です....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ませんでした。白地の浴衣を着た女なんぞは影も形も見えませんでした」 「あの露路は抜け裏か」 「以前は通りぬけが出来たんですが、もともと広い露路でもなし、第一無用....
三人の双生児」より 著者:海野十三
だことまで考えたが、これは考えすぎてたいへん莫迦をみたようなものであった。まるで抜け裏のない露地を、ご丁寧に抜け路があるかしらと探しまわって草臥もうけをしたよう....
蠅男」より 著者:海野十三
なかったばかりだった。 まことにわれわれは、へいぜい目にも耳にもさとく、裏街の抜け裏の一つ一つはいうにおよばず、溝板の下に三日前から転がっている鼠の死骸にいた....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
はよんどころなく後退りをして戻った。 「行かれませんかえ」と、亀吉は訊いた。 「抜け裏じゃあねえ」と、半七は体の泥を払いながら笑った。「途中で行き止まりだ。だが....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
もののようなすばやさで、走り出した。 なるほど、辻かごが、どんなにいそいでも、抜け裏から抜け裏を、駆け抜けたら、この方が、早いにきまっているのだ。 ――どう....
冥土行進曲」より 著者:夢野久作
った。 私は行く先々に白い交番が新しく新しく出来て行くのじゃないかと思い思い、抜け裏を潜ったり交番の前を電車の陰になって走ったりして、ヤッとの思いで両国の川縁....
物理学と感覚」より 著者:寺田寅彦
から考えるとそれはむしろ不便である。大通りが縦横に交差してその間にはまた多数の「抜け裏」のあるような、そういう複雑な系統として保存し発達さるべきものではないかと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「もうよろしい。七兵衛、お前は田舎《いなか》にいながら、江戸の火事の焼け抜いた抜け裏まで知っているようだ」 「火事は好きだもんですから、駈け出して見る気になる....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れて、半七はすぐに菊村の店へたずねて行った。菊村の店は四間半の間口で、一方の狭い抜け裏の左側に格子戸の出入り口があった。奥行きの深い家で、奥の八畳が主人の居間ら....
双面獣」より 著者:牧逸馬
相当の人数の捜査隊になっていた。彼らは改めて、沿道の村という村、町という町の露路抜け裏から、人家は戸別に叩いて歩いたが――其の時である。狂気のようになっている母....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
た。朝も晩も鉄砲籠を肩に、足に任せてほっつき廻っているので、大路小路の町名、露地抜け裏、江戸の地理にはことごとく通じていた。こうして屑拾いになりすまして種を上げ....
大岡越前」より 著者:吉川英治
様の御紋章つきの印籠じゃございませんか」 「そうだよ。盗んだ物じゃあない。堺町の抜け裏で、紫頭巾をなすった立派なお若衆からいただいたんだ」 「へえ、なるほど、そ....