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「抜毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

抜毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
風の便り」より 著者:太宰治
、あれから、もう一度、ゆっくり読みかえしてみました。最初、お照が髪を梳《す》いて抜毛を丸めて、無雑作に庭に投げ捨て、立ち上るところがありますけれど、あの一行半ば....
道草」より 著者:夏目漱石
、長い髪の毛が何本となく残った。彼女は梳《す》くたびに櫛の歯に絡《から》まるその抜毛を残り惜気《おしげ》に眺めた。それが彼女には失なわれた血潮よりもかえって大切....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
がって手を伸ばした。 「若いの! 三銭ばかりないか。腹が減ってしようがないんだ」抜毛のように頼りない声を出した。 「三銭どころか。この通りさ」若者は両手をはたい....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
に油差を持添え、揉烏帽子を頂いた、耳、ぼんの窪のはずれに、燈心はその十筋|七筋の抜毛かと思う白髪を覗かせたが、あしなかの音をぴたりぴたりと寄って、半ば朽崩れた欄....
秋毛」より 著者:宮本百合子
て引くとゾロゾロゾロゾロと細い髪《かみ》が抜けて来る。 三度目位までは櫛一杯に抜毛がついて来る。 袖屏風の陰で抜毛のついた櫛を握ってヨロヨロと立ちあがる抜《....
」より 著者:田中貢太郎
たなく俯向いて紐を結んでいると、雁がまた大きな足掻をして懐から転げ出るとともに、抜毛をばらばらと落しながら其のまま飛んで往った。帯下に挟んでいた財布も抜けて鳥と....
理想の女」より 著者:豊島与志雄
びりついてることがあった。夜中に夢にでも魘《うな》されたのだろう。その髪も産後の抜毛に薄くなって、生え際が妙に透いて見えた。起き上って髪を束ねるのに、長く時間を....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
―お茶の水の南添いに起伏している駿河台の丘。日ごとに葉をもがれてゆく裸木は、女が抜毛を傷むように、寒々と風に泣いている。 虱しぼりの半手拭を月代に掛けて、継の....