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抹香
「抹香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抹香の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
坂本の勘太てえば、あの墨染《すみぞめ》勘太かと申すぐらいで。この野郎が墨染という
抹香《まっこう》くさい異名《いみょう》をとった訳を申し上げないとお分りになります....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
の十二、三くらいな小坊主ばかり。料理、器物、いっさいがっさいがまたお寺にちなんだ
抹香《まっこう》臭いものばかりなんでしたが、しかし酒は般若湯《はんにゃとう》と称....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
たりする外、一般には、その葉を乾したり樹皮を砕いたりして、仏前や墓前で燻く、あの
抹香を製造する原料にされているんだ。判るかい。つまりこの煎餅と言い、莽草の実と言....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
れ目から陽光が洩れると、潮の林が鮮かに浮きあがる。どうやら仔鯨を連れて北へ帰る、
抹香鯨の一群らしい。船は、快いリズムに乗って、静かに滑り続ける。 やがて一時間....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
にし、茶筌にゆった髪は、乱れたままである上に袴もはかないと云う有様である。そして
抹香を一攫みに攫んで投げ入れると一拝して帰って仕舞った。信長の弟勘十郎信行の折目....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
真っ暗である。次郎は、そこに飛びこむと、平蜘蛛のように畳に体を伏せて息を殺した。
抹香くさい空気が、しめっぽく彼の鼻を出はいりする。 「どこに失せおった。」 お....
「織田信長」より 著者:坂口安吾
、悪太郎が川の釣から帰ってきたような姿で現れ、仏前へズカズカとすゝんで、クワッと
抹香をつかんで仏前めがけて投げつけた。 死者は何ものであるか。白骨である。仏者....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
枚の宗教でありまして、生活すること、生きることよりほかに宗教はない。だからむしろ
抹香くさい感じを取り去ってしまうほうがよい。 何でも自分の生活に必要でないもの....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
を引っぱり出してみることで、日によると黄いろや緑いろのお札が、香水だの、酢だの、
抹香だの、肝油だのとりどりの匂いを発散させながら、方々のポケットに七十ルーブルか....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
出たらグワンと一つ、御見舞申してもらいたいもんだな。なアに、君の腕なら、潜航艇も
抹香鯨も同じことさね」 「いやかえって、明日入港というような晩が危険なんです。船....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
行われている故以であろう。その中で穏かなのは彼岸花というのだけである。それとても
抹香臭い。もともと実物がわが国になかったところへ、何かの理由があって余所から這入....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
それにしても彼らは身動きをしない。その時ラシイヌはふとさっきから、東洋でくゆらす
抹香のような、死を想わせるような、「物の匂い」が、閉じこめた車内を一杯にして、匂....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
さえ見えないのだ。 霧の流れる船橋に集まって、船長から鯨の話を聞く。 鯨には
抹香鯨、槌鯨、つばな鯨、白鯨、ごんどう鯨、白長鬚鯨、長鬚鯨、鰮鯨、座頭鯨、背美鯨....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
、その人の職業を知る手掛かりとなるのです。たとえばあなたの爪の垢にはきっと線香か
抹香の粉が入っております。ですから、爪の垢の中に
抹香の粉を見つければ、その人は坊....
「大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」より 著者:神西清
堂の扉があって、そこを三段ほど下りると柱廊で、両側には聖者の画像が連なり、白壇と
抹香の匂いがたち籠めている。もう一つ扉があり、黒い人影がそれを開いて低く低くお辞....