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「押入〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

押入の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
聖書」より 著者:生田春月
それから若旦那の方を見て、 「あの、御用でございますか?」 「あのね、奥の居間の押入にね、ウィスキイとキュラソオの瓶があった筈だから、あれを持っておいで」 女....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
褄がかかって、引留められたようによろめいたが、衣裄に手をかけ、四辺を※し、向うの押入をじっと見る、瞼に颯と薄紅梅。 九 煙草盆、枕、火鉢、座蒲団....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
余った煮豆に蓋をして、あと片附は晩飯と一所。で、拭布を掛けたなり台所へ突出すと、押入続きに腰窓が低い、上の棚に立掛けた小さな姿見で、顔を映して、襟を、もう一息掻....
女客」より 著者:泉鏡花
で、落着澄まし、 「吝なことをお言いなさんな、お民さん、阿母は行火だというのに、押入には葛籠へ入って、まだ蚊帳があるという騒ぎだ。」 「何のそれが騒ぎなことがあ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
まじりに、ブラッシ、櫛などを並べて、洋式の化粧の間と見えるが、要するに、開き戸の押入を抜いて、造作を直して、壁を塗替えたものらしい。 薄萌葱の窓掛を、件の長椅....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
我もさせよう、傷もつけよう。さて無い、となると、やっぱり気が済まんのは同一道理。押入も覗け、棚も見ろ、天井も捜せ、根太板をはがせ、となっては、何十人でかかった処....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
になったんだ。気の毒だと思ってその女がくれたんだろうね、緋の長襦袢をどうだろう、押入の中へ人形のように坐らせた。胴へは何を入れたかね、手も足もないんでさ。顔がと....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ら、おやおや、どこへ潜ったろう、と初手の中は不気味でね。 (上げ板を剥って見ろ、押入の中の夜具じゃねえか、焦臭いが、愛吉の奴がふて寝をしていやあがるだろう。) ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
る気がしたんですよ――そ、それに二十七だとすると、もう五年生きられますもの。――押入なんかに蔵っておくより、昼間はちょっと秋草に預けて、花野をあるく姿を見ようと....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
突込んでいて可いものか。何となく、心ゆかしに持っていた折鞄を、縁側ずれに炉の方へ押入れた。それから、卵塔の草を分けたのであった。――一つは、鞄を提げて墓詣をする....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
な時ばかりじゃあないの。私が何かくさくさすると、可哀相に児にあたって、叱咤ッて、押入へ入れておく。あとで旦那が留守になると、自分でそッと押入から出て来てね、そッ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
いような串戯を、これは貴婦人の方が言って。――辞退したが肯かないで、床の間の傍の押入から、私の床を出して敷いたあとを、一人が蚊帳を、一人が絹の四布蒲団を、明石と....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
決して他人ではないと誓ったじゃないか。――此家へ来てくれた以上は、門も、屋根も、押入も、畳も、その火鉢も、皆、姉さんのものじゃないか。 白糸 おや、姉さんとなり....
ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
した。しかもその四畳半の半だけは板の間で、そこがまず台所という形で、つきあたりの押入れは半分が押入れで、あとの半分が便所という住居でした。露路をはいると、何とも....
転機」より 著者:伊藤野枝
はない。そこの低い床の上に五六枚の畳が敷かれて、あとは土間になっている。もちろん押入れもなければ戸棚もない。夜具や着物などが片隅みに押し寄せてあって、上りかまち....