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抽出
「抽出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抽出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
離れに錠前をかけて寝る彼の心持が笑止だった。
やがて純次は、清逸の使いふるしの
抽出《ひきだし》も何もない机の前に坐った。机の上には三分|芯《じん》のラムプがホ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
とは勿論であるが、現存の国家がその拠りどころとする智的生活、その智的生活から当然
抽出される二元的見断から自分自身を救い出して、愛の世界にまで高まらなかったら、そ....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
念の中においてのみである。 実際には種々なものと複雑にからみ合っていて、純粋な
抽出は不可能である。 ○演技指導はそれが始まるときに始まるのではない。通例配役の....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
* * 「そのときの若い方のが、昨夜、銀座裏で逢った彼の男なのさ」帆村は、
抽出のなかから新しいホープの紙函をとりだすと、そう云った。 「神田仁太郎という男....
「地球盗難」より 著者:海野十三
に曲げた。 そのときだった。突然大きな声がした。 「座席について、横の壁にある
抽出を明けろ。そこにある水薬を飲むと、頭痛が直る……」 たしかに人間の声だった....
「食魔」より 著者:岡本かの子
俎板の面に濡木の肌の地図を浸み拡げて行く勢いも鈍って来た。その間に、棚や、戸棚や
抽出しから、調理に使いそうな道具と、薬味容れを、おずおず運び出しては台俎板の上に....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
え、博士夫人の力を借りて研究室をいろいろ探したのです。すると果して書類函の一つの
抽出に、「月世界の生物について」と題する論文集を発見いたしました。 怪物が月に....
「流線間諜」より 著者:海野十三
…」 「右足のない梟」はすこし周章気味で、机の上や、壁との間の隙間や、はては机の
抽出まで探してみた。だが彼の探しているものはとうとう見付からなかった。彼の顔はだ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
」と背後むきに、戸棚へ立った時は、目を圧えた手を離して、すらりとなったが、半紙を
抽出して、立返る頭髪も量そうに褄さきの運びとともに、またうなだれて、堪兼ねた涙が....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
、しめじ、合羽、坊主、熊茸、猪茸、虚無僧茸、のんべろ茸、生える、殖える。蒸上り、
抽出る。……地蔵が化けて月のむら雨に托鉢をめさるるごとく、影|朧に、のほのほと並....
「古狢」より 著者:泉鏡花
た、すすき尾花の山の端は、巨きな猪の横に寝た態に似た、その猪の鼻と言おう、中空に
抽出た、牙の白いのは湖である。丘を隔てて、一条青いのは海である。 その水の光は....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
い醜かったのです。 ところが、大宝寺小学校の高等科をやがて卒業するころ、仏壇の
抽出の底にはいっていた生みの母親の写真を見つけました。そして、ああ、この人やこの....
「取舵」より 著者:泉鏡花
の掌を学生の鼻頭に突出せり。学生は直にパイレットの函を投付けたり。渠はその一本を
抽出して、燐枝を袂に捜りつつ、 「うむ、それから。」 「うむ、それからもないもん....
「山吹」より 著者:泉鏡花
道、野宿だで、犬おどしは持っとりますだ。(腹がけのどんぶりより、錆びたるナイフを
抽出す。) 画家 ああ、奥さん。 夫人 この人と一所に行くのです。――このくらい....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
があったのではないかと疑いました。私がこんなに熱愛していたのに、こうして鍵のある
抽出しに秘しておく、女の周到な用意を憎みました。そこで残酷だとは思いながら私は麗....