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拙い
「拙い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拙いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
云うが疾いか、(お先へ、)は身体で出て、横ッ飛びに駈け抜ける内も、ああ、我ながら
拙い言分。 (待て! 待て!) それ、声が掛った。 酒井はそこで足を留めた。....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
得ないところだ。私は余りに自分を裸にし過ぎる。然しこれを書き抜かないと、私のこの
拙い感想の筆は放げ棄てられなければならない。本当は私も強い人になりたい。そして教....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
るらしい演出者がいるのは驚くべきことだ。 ○演出者は俳優がテストに際してどんなに
拙い演技を示しても、決してそれによる驚きや失望を色に現わしてはいけない。彼の示し....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
てしまうのが例だった。日本を放れてはるばるこんなところへ来ている二人組の間に、気
拙いことが起るぐらい面白くなく、そして淋しいことはないので、こういう時には、結局....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
仰向けに、吉祥果の枝を肩に振掛け、裳をひらりと、片足を軽く挙げて、――いいぐさは
拙いが、舞などしたまう状に、たとえば踊りながらでんでん太鼓で、児をおあやしのよう....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
の肱の上へ顕われた鼻の、黄色に青みを帯び、茸のくさりかかったような面を視た。水に
拙いのであろう。喘ぐ――しかむ、泡を噴く。が、あるいは鳥に対する隠形の一術であろ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
行でも、そいつを狙って、鷹の目、梟の爪で、待機中の友達のね、墨色の薄いのと、字の
拙いのばかり、先生にまだしも叱正を得て、色の恋のと、少しばかり甘たれかかると、た....
「露肆」より 著者:泉鏡花
すが、一分一寸ですから、開いていても、塞いでいても分らんのうです。 私は弁舌は
拙いですけれども、膃肭臍は確です。膃肭臍というものは、やたらむたらにあるものでは....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て新らしい方でも、又さして古い方でもございませぬ。 こんな複雑った事柄を、私の
拙い言葉でできる丈簡単にかいつまんで申上げましたので、さぞお判りにくい事であろう....
「旧作」より 著者:上村松園
る人」 と思わせるものがあります。 でも、ずっと以前の作が箱書に廻り、それが
拙い絵であったりすると、 「これはどうも……何しろ若描きも若描き、まだ世の中へ出....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
。 A どうだか。 B どうだかって、たしかに言ったよ。文芸上の作物は巧いにしろ
拙いにしろ、それがそれだけで完了してると云う点に於て、人生の交渉は歴史上の事柄と....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
のいい年とった尼さんです。失礼ながら、この先客は邪魔でした。それがために、いとど
拙い口の、千の一つも、何にも、ものが言われなかったのであります。 「貴女は煙草を....
「軽女」より 著者:上村松園
…と思ったのであるが、お別れの一曲と所望されては、それを断わりもならず、それでは
拙い一手を――と言って、秘愛の琴をとり出し、松風を十三絃の上に起こし、さて、何を....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
江戸文化の爛熟した幕末の富有の町家は大抵文雅風流を衒って下手な発句の一つも捻くり
拙い画の一枚も描けば直ぐ得意になって本職を気取るものもあった。その中で左に右く画....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
には拘束されないで、自由|気儘にグングン訳し、「昔のような糞正直な所為はしない、
拙い処はドンドン直してやる」と、しばしば豪語していた。が、興に乗じた気焔の飛沫で....