» 拙さ

「拙さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

拙さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
御像を写そうとした。いままた繰返しながら、その面影の影らしい影をさえ、描き得ない拙さを、恥じなければならない。 大正十三(一九二四)年七月....
当今の劇壇をこのままに」より 著者:岡本綺堂
と顧客がいう栄三郎もチト怪しいものである。もっとも今の羽左衛門が家橘といった頃は拙さ加※を凧に乗って盗むというのだが、その金助の役を八百蔵に書き下したところ、芝....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
った。その証拠には浪花節が上手でも、逆立ちが下手でも、とにかく兵隊としての要領の拙さでは逕庭がなかった。ことに命令されたことをテキパキ実行できないというへまさ加....
役者の一生」より 著者:折口信夫
語っていたくらいである。これは明治代の写真を見ればわかる事で、それには写真技術の拙さという事もあろうけれど、一体に素顔のよくない女形が多かった。岩井半四郎などは....
仇討三態」より 著者:菊池寛
た。が、少年時代に受けた武士としての教育が、それを許さなかった。彼は自分の武運の拙さが、しみじみ感ぜられた。それと同時に、自分の生涯をこれほど呪っている父の敵が....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
に義理人情ある人々の間に起こる不調和である。人間の触るるところ、集まるところ、気拙さと不調和とにみちている。いやもっと深刻な残冷な、人間の当然な幸福と願い――そ....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
を演じている心持ちが離れない。それもすこぶる拙いせりふである。 自分でせりふの拙さを意識するものだから、ついいうべき事が気遅れして、充分に心が尽せないので腹が....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
たのである。警察も仕方なく栄養剤の注射をうって、持久戦に入った。 私はわが身の拙さを考えたのである。まず第一に、私が警察につかまっても、芸者や、料理屋や、待合....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
み。仕方がない結果でしたろう。 しかも、彼女は実に謙虚でした。すべてはわが身の拙さ、至らなさと観じたかの如くに、実に音もなく、影の如くに、帰するが如くに死んだ....
ヒノエウマの話」より 著者:坂口安吾
秀なスポーツマンほど迷信的になり易いのは、彼らがむしろ進歩につれて己れの弱さや、拙さを熟知するようになるからだ。文化全般に於て同じことで、文化の進歩につれて各人....
フシギな女」より 著者:坂口安吾
いのですから」 おどろいたな、この時は。しかし、甚しくガッカリもした。わが身の拙さを嘆いたのである。 科学もある点まで推理だ、と云ったのは、こういうことさ。....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
さしく見つめているが、菅谷はその親しみをこめた笑みや眼差しをうけるに値しない身の拙さを省みて、赤らんでしまった。 「次に重大なことは、ナガレ目とオタツが谷へ行く....
夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
とだ。 いまのオレは素直な心に立っているから、いま造りかけのミロクにもわが身の拙さを嘆く思いは絶えるまもないが、バケモノが腑抜けに見えたほど見るも無慚な嘆きは....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
ることができるが、道標を書いた民間人の、悲しい罪は、どうにも、憎めない。わが身の拙さ、わが身の悲しさに思い至り、身につまされて、やりきれなくなるばかりである。人....
」より 著者:神西清
んだのを見た時だった。二人とも恥かしくなった。私はどうあってもぜひいますぐこの気拙さを拭きとってしまわねばならぬ、でないと後になって汽車の中でも、ペテルブルグで....