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「拭う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

拭うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
」 面白く遊ぼう遊ぼう言うても、話を始めると直ぐにこうなってしまう。民子は涙を拭うた様であった。ちょうどよくそこへ馬が見えてきた。西側の山路から、がさがさ笹に....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
れでもバラは、もじもじと尻込みをしながら、はんかちなどを出して、しきりに額の汗を拭うのであった。ペンはそれを見ていると恐ろしくなってきて、戸口から遠くへ身を引い....
映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
の見当はついているであろう。 その人こそ、その人の名こそ、日本映画史にふたたび拭うべからざる汚点を残したものとして、日本に映画のあるかぎり、日本に映画人のある....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
寝なかった」 こう言って父も思い迫ったごとく眼に涙を浮かべた。母はとうから涙を拭うている。おとよはもとより苦痛に身をささえかねている。 「それもこれもお前が心....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
いように見えたが屍体はもう一と口も返事することができなかった。 兄の一郎は涙を拭うと、血にまみれた屍体を覗きこんだ。そのとき彼は屍体の頤のすぐ下のところに深い....
薬草取」より 著者:泉鏡花
のに、力を要した所為もあり、薬王品を胸に抱き、杖を持った手に帽を脱ぐと、清き額を拭うのであった。 それと見る目も敏く、 「もし、御案内がてら、あの、私がお前へ....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
持ち出しかねる。 「困った。どうすればいいのか」 卿は、顔一面にふき出た脂汗を拭うことも忘れて、いらいらと部屋中を歩きまわる。結局決ったのは、もっと別の部屋を....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
や串戯で、こ、こんな事が。俺は夢になれと思っている。 ※跡には二人さし合も、涙|拭うて三千歳が、恨めしそうに顔を見て、 お蔦 ほんとうなのねえ。 早瀬 俺があや....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
―跣足のまま、素袷のくたびれた裾を悄々として、縁側へ――下まで蔓る南瓜の蔓で、引拭うても済もうけれど、淑女の客に、そうはなるまい。台所へ廻ろうか、足を拭いてと、....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
あら、そんな事をなすッちゃ、お前さんの顔に。まあ、勿体ない。」 とて白き掌もて拭う真似せり。 「あのほんとに、毎晩いらっしゃいよ。私もついあんな事を云ったんだ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ているのじゃ。もう間もなく雨も雷も止むであろう……。』 果して間もなく雷雨は、拭うが如く止み、山の上は晴れた、穏かな最初の景色に戻りました。私は夢から覚めたよ....
三重宙返りの記」より 著者:海野十三
し、初めて挙手の礼をもって挨拶をした。鼻汁がたれているのはわかっていたが、これを拭うすべをしらないほど平常の身嗜みに無関心だった。 西原少佐殿は、さっきとは打....
式部小路」より 著者:泉鏡花
で。 へい、決してその、決して何でさ、忘れたんじゃありません。」 語って涙を拭う時、お夏ははんけちを啣えていた。 「じゃ何、あの晩火事の時、火の中へ飛び込ん....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
もなかった二葉亭の数年前から持越しの神経衰弱は露都行という三十年来の希望の満足に拭うが如く忽ち掻消されて、あたかも籠の禽が俄に放されて九天に飛ばんとして羽叩きす....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
ぬ。日光水面を射て、まぶしさ堪えがたかりしも、川風そよそよと衣袂を吹き、また汗を拭う要無し。 仕掛、座蒲団などを舳の間に持ち往きて、座を定め、水色を見ながら、....