»
拭く
「拭く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拭くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
だけいる場合でも泣顔などは見せた事がないといってもいい位だったのに、その時の涙は
拭くあとからあとから流れ落ちた。その熱い涙はお前たちだけの尊い所有物だ。それは今....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
十袋、虎河豚一頭、大の鮹|一番。まあ……(笑う。侍女皆笑う。) 僧都 (額の汗を
拭く)それそれさよう、さよう。 公子 (微笑しつつ)笑うな、老人は真面目でいる。....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
らいなことで半日でも客を断るということがありますか、死んだ浮舟なんざ、手拭で汗を
拭く度に肉が殺げて目に見えて手足が細くなった、それさえ我儘をさしちゃあおきませな....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
しくおなんなすった、身体から絞るようじゃありませんか。ほんとに冷々するんですよ。
拭くたびにだんだんお顔がねえ、小さくなって、頸ン処が細くなってしまうんですもの、....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
驚きましたよ、まったくの処驚きましたよ。」 と、懐中に突込んで来た、手巾で手を
拭くのを見て、 「あれ、貴方……お手拭をと思いましたけれど、唯今お湯へ入りました....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
をひっくりかえしてしまったことだ。大騒ぎになって牌をどかせるやら、濡れたところを
拭くやら、新しい卓子布を持ってこさせて、四人が四隅をひっぱって、鋲で卓子へとめる....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
徴かと思って居たのよ。 ――ちょっと待って、イベット。 小田島は額の汗を急いで
拭くとイベットの肩をしっかり掴んで揺ぶった。 ――悪かった。僕は矢張り君に対して....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ついている雫止めのゴム蝶の曲ったのを、一寸直し、濡れた指を手首に挟んだハンカチで
拭くとその手をずっと伸して新吉の顎にかけて自分に真向きに向かせる。 ――さあ、そ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
間ひとりと猿一匹の死因も判ったでしょう。」 「判りました。」 わたしは再び額を
拭くと、初めてそれに気がついたらしく、芸妓は急に起ち上がって窓をあけると、宵の空....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った二人組がありましたが、その晩は蒸し暑いので、ひとりの奴が覆面を取って顔の汗を
拭くと、それが坊主頭であったので、店の者は又おどろいたということです。私はその話....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
であった。 その留め男が半七であると判って、要作もお高も恐縮した。濡れた着物を
拭くやら、汚れた足を洗わせるやらして、彼等はしきりに半七にあやまった。 「いや、....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
物を春の日にきらめかした一挺の女乗物が石段の下へ急がせて来た。陸尺どもは額の汗を
拭く間もなしにその乗物を喧嘩のまん中に卸すと、袴の股立ちを掻い取った二人の若党が....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
》でさした。 「あたしの引っ込んで来るまでに、よく沸かして置いて頂戴よ。からだを
拭くんだから」 「あい、あい」 「姐さんがいないと思って乙《おつ》う幅を利かすね....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
ーニングの銀ちゃんは、ひとの二倍は唇が分厚かった。 京吉はもう黙って、手の汗を
拭くと、すっと手を伸ばして、リンシャンパイを掴んで、ギリギリと掻くようにパイの表....
「蛍」より 著者:織田作之助
の水で丁寧に洗った後でなければ受け取ろうとせず、あとの手は晒手拭で音のするくらい
拭くというありさまに、かえすがえす苦りきった伯父は夜の明けるのを待って、むりに辛....