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「拳固〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

拳固の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
ょう》悪いだ。去《い》ね。去ねべし」 「そういえど広岡さん……」 「汝《わり》ゃ拳固《げんこ》こと喰らいていがか」 女を待ちうけている仁右衛門にとっては、この....
星座」より 著者:有島武郎
きた。何んだかばかばかしいと彼は思った。 新井田氏の玄関によろけこむと、渡瀬は拳固《げんこ》で涙と鼻水とをめちゃくちゃに押しぬぐいながら、 「奥さあん」 と....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
子が古浴衣《ふるゆかた》の膝切《ひざぎり》な奴を、胸の処《ところ》でだらりとした拳固《げんこ》の矢蔵《やぞう》、片手をぬい、と出し、人の顋《あご》をしゃくうよう....
婦系図」より 著者:泉鏡花
台を預っとくんねえ、か何かで、」 お蔦は半纏の袖を投げて、婀娜に酔ッぱらいを、拳固で見せて、 「それッきり、五日の間行方知れずになっちまう。」 「旦那、こうな....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
た。が、トランクの中には何も入っていなかった。全くからっぼであったのだ。 彼は拳固《げんこ》をこしらえると自分の頭をごつんと一撃してからそのトランクの口を閉《....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
です、それ見たか、と白い……」 「多謝。」 「逞しい。」 「取消し。」 「腕を、拳固がまえの握拳で、二の腕の見えるまで、ぬっと象の鼻のように私の目のさきへ突出し....
怪塔王」より 著者:海野十三
くらい、その場に重なりあって両手をつきました。それをみるや、兵曹長は栄螺のような拳固をかためて、手もとに近い敵から、その頬ぺたを、ぱしんぱしんとなぐりつけました....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ら、エヘンと咳払をした。 士官は、ある一つの私室の前で足をとめた。そして大きな拳固をふりあげて、こつこつと案外やさしく扉を叩く。 「おう、誰か」 と内側から....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
の輪袈裟を雲のごとく尊く絡って、水晶の数珠を提げたのに。―― と、うしろから、拳固で、前の円い頭をコツンと敲く真似して、宗吉を流眄で、ニヤリとして続いたのは、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
狐でも狸でも、この通りだ、と刃物の禁断は承知ですから、小刀を持っちゃおりません、拳固で、貴僧。 小相撲ぐらい恰幅のある、節くれだった若い衆でしたが……」 場....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て、帽子、杖、またどうぞ、というのが、それ覚えてか、いつのこと……。後朝に、冷い拳固を背中へくらったのとは質が違う。 噫、噫、世も許し、人も許し、何よりも自分....
狂人日記」より 著者:井上紅梅
。乃公はもう恐れはしない。肉こそ食わぬが、胆魂はお前達よりよっぽど太いぞ。二つの拳固を差出して彼がどんな風に仕事をするか見てやろう。親爺は坐っていながら眼を閉じ....
狂女」より 著者:秋田滋
、そのそばに髑髏が一つころがっていた。それを見ると、突如として例の狂女の記憶が、拳固でどんと突かれでもしたように、僕の胸のなかに蘇って来た。あの忌わしい年のこと....
三枚続」より 著者:泉鏡花
思いがけねえ狂犬めが噛附くような塩梅に、突然、突当る奴がある、引摺倒す奴がある、拳固でくらわす奴がある、一度々々|呼吸を引かないばッかりで、はッはッと思うことが....
式部小路」より 著者:泉鏡花
をフンフンとやって、 (私あ、固唾を飲んでた処だ。符帳が合ったから飛出した、)と拳固で自分の頬げたを撲りながらいうんでしょう。 いや、傍聞きをした山の井|光起....