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「拵え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

拵えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
のかな。」 「じゃお母さんはどうしたんです? お母さんだってこの間は、羽織を一つ拵えたじゃありませんか?」 姉は父の方へ向き直ると、突然険しい目つきを見せた。....
追憶」より 著者:芥川竜之介
ぐり合った。「いじめっ子」は杉浦誉四郎である。これは僕の隣席にいたから何か口実を拵えてはたびたび僕をつねったりした。おまけに杉浦の家の前を通ると狼に似た犬をけし....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
夫の児じゃないそうで、その擽ったがりようこの上なし。……あれ、あんなあの、握飯を拵えるような手附をされる、とその手で揉まれるかと思ったばかりで、もう堪らなく擽っ....
海の使者」より 著者:泉鏡花
って、ほぼその色も、黒の処へ黄味がかって、ヒヤリとしたものらしく考えた。 後で拵え言、と分かったが、何故か、ありそうにも思われる。 それが鳴く……と独りで可....
女客」より 著者:泉鏡花
します。」 「だって、だって、貴下がその年、その思いをしているのに、私はあの児を拵えました。そんな、そんな児を構うものか。」 とすねたように鋭くいったが、露を....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
に包んだ蝶々というのが載っていました。……それがために讃めるんじゃあねえけれど、拵えねえで、なまめいたもんでしたぜ。人を喰ったこっちの芳原かぶりなんざ、もの欲し....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
――月府玄蝉――上杉先生が、糸七同門の一人に戯に名づけたので、いう心は月賦で拵えた黒色外套の揶揄である。これが出来上った時、しかも玉虫色の皆絹裏がサヤサヤと....
縁結び」より 著者:泉鏡花
今も覚えている。一日、その母親の手から、娘が、お前さんに、と云って、縮緬の寄切で拵えた、迷子札につける腰巾着を一個くれたんです。そのとき格子戸の傍の、出窓の簾の....
」より 著者:池谷信三郎
で拗ねていた。彼が硝子の戸を押してはいって行くと、女はつんとして、ナプキンの紙で拵えた人形に燐寸の火をつけていた。人形は燃えながら、灰皿の中に崩れ落ちて行った。....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
うかと思うと、足許に田の水が光ったりする、その田圃も何となく、大な庭の中にわざと拵えた景色のような、なだらかな道を通り越すと、坂があって、急に両側が真赤になる。....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
れも此方を背戸にして別荘だちが二三軒、廂に海原の緑をかけて、簾に沖の船を縫わせた拵え。刎釣瓶の竹も動かず、蚊遣の煙の靡くもなき、夏の盛の午後四時ごろ。浜辺は煮え....
寺内の奇人団」より 著者:淡島寒月
せてお茶を飲ませた事がありました。それから父は瓢箪池の傍で万国一覧という覗眼鏡を拵えて見世物を開きました。眼鏡の覗口は軍艦の窓のようで、中には普仏戦争とか、グリ....
活人形」より 著者:泉鏡花
開きて、身には微傷も負わざりけり。 大名の住めりし邸なれば、壁と見せて忍び戸を拵え置き、それより間道への抜穴など、旧き建物にはあることなり。人形の後の小座敷も....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
ける所にも、背中で倚り掛かる所にも、脚の所にも白い革紐が垂れていなくって、金属で拵えた首を持たせる物がなくって、乳色の下鋪の上に固定してある硝子製の脚の尖がなか....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
い。大抵は五厘か寛永通宝である。その又穴銭の中の文銭を集め、所謂「文銭の指環」を拵えたのも何年前の流行であろう。僕等は拝殿の前へ立ち止まり、ちょっと帽をとってお....