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拾い上げる
「拾い上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拾い上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
すると今度は櫛《くし》かピンかが、突然ばたりと落ちる音が聞えた。しかしそれを
拾い上げる音は、いくら耳を澄ましていても、なぜか陳には聞えなかった。
こう云う....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
を投げてよこした。僕は小皿や箸《はし》の間からその一片を拾い上げた。けれども折角
拾い上げると、急に嗅いで見る気もなくなったから、黙ってテエブルの下へ落してしまっ....
「或る女」より 著者:有島武郎
中に葉子は事務長の名刺があるのに目をつけて、身をかがめてそれを拾い上げた。それを
拾い上げるとま二つに引き裂いてまた床になげた。それはあまりに手答えなく裂けてしま....
「或る女」より 著者:有島武郎
ど誤解を受ける人はない。だれもあなたの複雑な性格を見窮めて、その底にある尊い点を
拾い上げる人がないから、いろいろなふうにあなたは誤解されている。あなたが帰るにつ....
「星座」より 著者:有島武郎
とるよ……」
と父は膝のまわりを尋ねまわして、別々になっている煙草入と煙管とを
拾い上げると、慌《あわ》てるようにして煙草をつめたが、吸うかと思うと火もつけずに....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
、ちょうどぴったりとくる一つの例を、エーベルハルトの大戦に関する類例集の中から、
拾い上げることができました。それは、皮紐の合わない小型の瓦斯《ガス》マスクを、大....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
田氏の注視の標となり、氏の桐の下駄は戛と鳴って、三角形蟇口の前に止りました。直ぐ
拾い上げるだろうと予想した事ははずれて細田氏はステッキでちょいちょいと其の蟇口を....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
一寸見ては血痕を発見しえないように整えることができた。十字路で約束通り相良十吉を
拾い上げるようにして車内へ入れると、運転手に命じて灯火を滅させ急速力を出させた。....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
がった、この化物め!」刑事がこの厄介な男を制する間もなく、岡安は路傍の大きな石を
拾い上げると、パッとネオン・サインを目がけてうちつけた。恐ろしい物音がして、サイ....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
三つ転っている。その側に、キチンと畳まれた紙片が置いてあったが、田部井氏はそれを
拾い上げると、チラリと表紙を見て、黙って私にそれを差出した。それは三四郎の、私に....
「反戦文学論」より 著者:黒島伝治
っているヒマがない。近代文学には、明かに、戦争反対の意図を以て書かれたものを相当
拾い上げることが出来る。それらは、一般的に戦争に反対している。戦争は悲惨である。....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
は早速これへ乗って、一飛びに空を渡るとしよう」 鉄冠子はそこにあった青竹を一本
拾い上げると、口の中に咒文を唱えながら、杜子春と一しょにその竹へ、馬にでも乗るよ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ところが、それを初めから読み下していくうちに、最初の日の記述の中から、次の一章を
拾い上げることができた。 ――ウルリーケが首途の贈り物に、「ニーベルンゲン譚詩....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
の板のようになって自分の背後から浮いて流れて来る。そしてその上に乗る事も、それを
拾い上げる事も出来ぬのである。そしてこれから先き生きているなら、どんなにして生き....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
、慌てて起ち上った拍子にカーネーションの一本が袖に引っかかって落ちた、彼はそれを
拾い上げるひまもなく、踏みにじってあの低い窓から飛び出したのだろうと私は想像した....