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拾う
「拾う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
拾うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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往来に立った少年の足もと。小さい花束が一つ落ちて来る。少年の手はこれを
拾う。花束は往来を離れるが早いか、いつか茨《いばら》の束に変っている。
....
「白」より 著者:芥川竜之介
だを踏んでいるのです。坊ちゃんも、――坊ちゃんは小径《こみち》の砂利《じゃり》を
拾うと、力一ぱい白へ投げつけました。
「畜生《ちくしょう》! まだ愚図愚図《ぐず....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
さに圧せられて、やはり静かにゆったりと歩く。小樽の人はそうでない、路上の落し物を
拾うよりは、モット大きい物を拾おうとする。あたりの風物に圧せらるるには、あまりに....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
肩で押して、灰の中へ露わな肱も落ちるまで、火鉢の縁に凭れかかって、小豆ほどな火を
拾う。……湯上りの上、昼間|歩行き廻った疲れが出た菅子は、髪も衣紋も、帯も姿も萎....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
折って、灸のあとを出すのがある。おお、おかしい。(微笑む)粟粒を一つ二つと算えて
拾う雀でも、俄雨には容子が可い。五百石、三百石、千石一人で食むものが、その笑止さ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
しいその令夫人のおともをして、某子爵家の、前記のあたりの別荘に、栗を拾いに来た。
拾う栗だから申すまでもなく毬のままのが多い。別荘番の貸してくれた鎌で、山がかりに....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
と夜具風呂敷の黄母衣越に、茜色のその顱巻を捻向けて、 「厭な事は、……手毬を
拾うと、その下に、猫が一匹居たではねえかね。」 十七 訓導は苦笑....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
笑して、 「それじゃあそちらで可いようにするさ。ああ、驚いた。」 力なげに槍を
拾うて立ちしが、 「貢、もう己あ邪魔あしない。堪忍してやらあ、案じるな。」 と....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
近づいて見れば、渠等が漕ぎ廻る親船は、その舳を波打際。朝凪の海、穏かに、真砂を
拾うばかりなれば、纜も結ばず漾わせたのに、呑気にごろりと大の字|形、楫を枕の邯鄲....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
と思うと、やがて吹流しに手拭を被った婦人の姿が顕れて立ったが、先へ行く者のあとを
拾うて、足早に歩行いて、一所になると、影は草の間に隠れて、二人は山腹に面した件の....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ます。これは、その簪の橘が蘂に抱きました、真珠の威勢かにも申しますな。水は浅し、
拾うのに仔細なかったでございますれども、御老体が飛んだ苦労をなさいましたのは……....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
大いに一同に愛敬せられ、思いの外の学者なりと称えられたり。 月日の経つは活字を
拾うより速かに、器械の廻るより早し。その年の夏となりしが四五月頃の気候のよき頃は....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
く足が早い。おくれまいとすると、駆出すばかりで。浜には、栄螺を起す男も見え、鰯を
拾う童も居る。……汐の松の枝ぶり一つにも杖を留めようとする風流人には、此奴あてつ....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
と多助は、笑いながら言うと、太郎右衛門も大きな口を開いて笑いました。 「伊作の
拾うんだもの、碌なものでなかべいになあ!」 と太郎右衛門は附け足して、多助と一緒....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
った樹間に可憐な音をころがしつつ遊んでいる。いたずらに小石や落ち散った木枝などを
拾うて擲げつけても、身に当らない限りはさして驚き易く逃げようとはしない。白雲の退....