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持仏
「持仏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
持仏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一緒に歩く亡霊」より 著者:田中貢太郎
く年が明けて正月の元日が来た。甚六の家では屠蘇を汲み雑煮を祝おうとしたところで、
持仏堂の中が怪しい音を立てて鳴りだした。甚六と甚六の女房は驚いてそのほうへ顔をや....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
されし。お吉|其儘あるべきにあらねば雇い婆には銭やって暇取らせ、色々|片付るとて
持仏棚の奥に一つの包物あるを、不思議と開き見れば様々の貨幣合せて百円足らず、是は....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
れますでございます。 その平扁味な処が、恰好よく乗りますから、二つかさねて、お
持仏なり、神棚へなり、お祭りになりますと、子の無い方が、いや、もう、年子にお出来....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
ったがね、人にも遣られず、焼くことも出来ずさ、仕方がないから、一|纏めにして、お
持仏様の奥ン処へ容れておいてよ。毎日拝んだから可いではないかね。」 先刻に干し....
「四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
にいて、隣の部屋から喜兵衛とお岩の話を聞いていたのであった。 朝になってお岩は
持仏堂の前に坐ってお題目を唱えていた。お岩の家は日蓮宗であった。そこへ伊右衛門が....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
船でざぶ/\やられるよりやアお寺でも家根があって、まゝまア宜い心持の様だ」 と
持仏に向いまして、 馬「暗くって分りませんが、如来様か観音様かどなた様かは存じま....
「錦木」より 著者:宮本百合子
りは仏にもねがって見ようと存じまして」 殊勝げなかおをして人に通じれば、すぐに
持仏堂、経をよみながら胸の中では引出ものの胸算よう、思わず気をとられて経文を一回....
「夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
クミが揃ったので、正式に長者の前へ召されて、このたびの仕事を申し渡された。ヒメの
持仏をつくるためだと聞いていたが、くわしいことはまだ知らされていなかったのだ。 ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
く見ることのできないようなトビキリの仏象がでてきました。古墳の主が朝夕拝んでいた
持仏でしょうが一尺五寸ぐらいの半跏像ですが、観音様だか何仏だか、ちょッと風変りで....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
な気がした。何かしら、張りつめていたものが抜けて、弱くなって行くような気がした。
持仏の間には、大きい、広い仏壇が、黒い艶を、金色の光を、静かに、輝かせていた。
....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
まじりてほの聞ゆるなど、かのくえんしの建立《こんりゅう》ありし姫宮《ひめみや》の
持仏堂《じぶつどう》も思ひ出られて哀れなり。されば朝市のふるものあつかひよと人い....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
は洛外に出してはならぬとお禁じになった。基衡非常にこれを憂い、七日間水漿を断って
持仏堂に閉じ籠り、一心に仏に祈請を凝らしたうえ、九条関白に運動してもらってついに....
「オシラ神に関する二三の臆説」より 著者:喜田貞吉
れもこの神を祭った当初の時代からのものだと思われるほどの古い厨子の中に安置して、
持仏と並べてお祭りしてある。毎日礼拝はするが何を祈るということもなく、また何を守....
「法然行伝」より 著者:中里介山
がらも、尋ねて見るのも億劫《おっくう》でその日は帰り、その後また訪ねた時に法然は
持仏堂にいて四郎は大床に伺候して云うことに、 「どうもやつがれのような無縁の者は....
「無月物語」より 著者:久生十蘭
泰文は東山の八坂の中腹に三昧堂のようなものを建てた。有名な無信心者がどういう気で
持仏堂など建てたのか。招かれたある男が可笑がって笑うと、泰文は堂の縁端まで連れて....