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「持出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

持出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
ちなさい、と机の傍に坐り込んで、煙草を喫もうとして、打棄って、フイと立って蒲団を持出すやら、開放しましょう、と障子を押開いたかと思うと、こっちの庭がもうちっとあ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
るらしかった。 寒気がするとて、茶の間の火鉢に対向いで、 「はじめはそんな席へ持出すのに、余り栄えな過ぎると思ったが、――先刻から言った通り――三輪坊がしたお....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
っぱらった砲手の未亡人が、客を相手に愚痴話をはじめだすと、きまって鯨の祟り――を持出す。そして話がそこまで来ると、殆んど船乗りばかりのその座は、妙に白けて、皆な....
食魔」より 著者:岡本かの子
きとコップを、ちょうど士が座敷に入るとき片手で提げるような形式張った肘の張り方で持出すと、洋服の腰に巻いていた妙な覆い布を剥ぎ去って台所へ抛り込んだ。襖を閉め切....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、精巧に出来ているものとか、値段の高いものとか、いちいちそういうむずかしい註文を持出すから面倒になるので、わたしから云えばそれらは真の人形好きではありません。勿....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
えている綱に、空いている方の手をかけた。彼女はその綱をひいて、博士の人形を室外に持出す様子を示した。 そのとき、美女はわずかの隙《すき》を作った。 と、実験....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、いずれも一家をなし、一芸に、携わる連中に――面と向っては言いかねる、こんな時に持出す親はなし、やけに女房が産気づいたと言えないこともないものを、臨機縦横の気働....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
はい、植吉でございます。」 「そうか、その木戸の前に、どこか四ツ谷辺の縁日へでも持出すと見えて、女郎花だの、桔梗、竜胆だの、何、大したものはない、ほんの草物ばか....
池袋の怪」より 著者:岡本綺堂
うにも手の着様がない。何しろ、これまで曾て人を傷つけたことの無いこの石が、鉄砲を持出すと直ちにその人を撲つというのは如何にも奇怪で、何でも怪しの物が潜んでいるに....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
せぬ、 今の社会問題攻究者等が、外国人に誇るべき日本の美術品と云えば、直ぐ茶器を持出すの事実あるを知りながら、茶の湯なるものが、如何に社会の風教問題に関係深きか....
丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
ち田畑の凶作を云い立て、年貢御猶予の願いと出て来る。その他いろいろ虫の好い願いを持出すから、決して油断は出来ぬという。それを胸に貯えているので、警戒を一層引締て....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
の長上下で貧乏徳利をブラ下げて入鹿御殿に管を巻こうと、芝居や小説にいちいち歴史を持出すのは余程な大白痴で、『八犬伝』の鉄砲もまた問題にならない。が、ウソらしいウ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
のお雛様の節句と来た日にゃ、演劇も花見も一所にして、お夏さんにかかる雑用、残らず持出すという評判な祭をしたもんですッさ。 私が勝山に伺うようになりました翌年、....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
形のしおらしい蟹で、市の居つきが荷を張ったのではない。……浜から取立てを茹上げて持出すのだそうで、女護島の針刺といった形。 「こうばく蟹いらんかねえ、こうばく蟹....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
遇の悶えとして存在の理由がある。緑雨の作の価値を秤量するにニーチェやトルストイを持出すは牛肉の香味を以て酢の物を論ずるようなものである。緑雨の通人的観察もまたし....