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持味
「持味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
持味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恥」より 著者:太宰治
やっぱり、いやになり、自殺するという筋の小説。すこし露骨で暗いけれど、戸田さんの
持味は出ていました。私はその小説を読んで、てっきり私をモデルにして書いたのだと思....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
らぬ。若しそれらを掴むのが不可能のことならば、公平な観察者鑑賞者となって、両極の
持味を髣髴して死のう。 人間として持ち得る最大な特権はこの外にはない。この特権....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
いず、チョウナを使って削ったのだという、荒削りのあとに、古い時代のおのずからなる
持味がうかがわれただけだ。引札の説明では、建久四年、頼朝富士裾野、牧狩の時の仮家....
「「愛怨峡」における映画的表現の問題」より 著者:宮本百合子
いだけの感覚をもった人であろう。 溝口というひとはこれからも、この作品のような
持味をその特色の一つとしてゆく製作者であろうが、彼のロマンチシズムは、現在ではま....
「映画の語る現実」より 著者:宮本百合子
った。日本のタイトルは何という名であったろうか。それなどは、リリアン・ギッシュの
持味として演技の落付き、重々しい美はあったがシナリオ全体としては従来の「支那街《....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
めないわけにはゆかなくなる。皮肉家は多くの場合に自我主義者で、どうかすると自分の
持味で他の味をかき乱そうとするからだ。それに較べると、山椒の匂は刺激はあるが、苦....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
オロギーよりは、芸術という魅力によって生き、これによって死んで悔いないというのが
持味《もちあじ》なのです。 「芸術」というのは、徳川期に於ては「武術」に限ること....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らと見なければならないのですが、それがどうも、滑稽としか見えないのは、この人物の
持味《もちあじ》の、幸と不幸との分れ目でしょう。 見る人が無い、笑う人が無いか....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
麦は挽《ひ》かせて、うどんに造ったり餅に焼いたりするが、色こそ黒いけれども、その
持味は公設市場で売るメリケン粉の類ではない、小麦本来の
持味が充分で同時に営養価も....
「雪の上の足跡」より 著者:堀辰雄
んにも無いくせに、そんな雰囲気だけはもっている――そこがまあ現在のこの村の一種の
持味で、僕なんぞにはかえってぴったりしているのだろうと思う。こんなに荒廃して、そ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
のについては、別に根本的に言って見るつもりであるが、とにかくここではその店の持前
持味とでも解釈しようか、一つの商売を大切に護って相当年数を経て来た店というものは....
「双語」より 著者:上村松園
な伝又兵衛になっていることは争われません。 二 作品に、その人特殊の
持味がよく現われていることは勿論よいことでもあるし、そうなくてはならないと思いま....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の残部《のこり》を埋めるだけの用心は忘れなかった。 翌日の蒲鉾には初めて磯屋の
持味が出た。平兵衛自身一切れ試食して何年になく晴々とした。その日も夜とともにおり....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
寿座で、家橘の与三郎、源之助のおとみ、伝五郎の蝙蝠安を見たことがあるが、いわゆる
持味で、与三郎の体に持っている自然の柔かみには他人の企て及ばないところがあった。....
「志士と経済」より 著者:服部之総
》とは安政三年春以来兄弟盃の間柄、等々といったふう。こうした関係が何も雲浜固有の
持味や性癖に基づくものでなく、かえって一つの時代的、必然的な土台から生起している....