持物[語句情報] »
持物
「持物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
持物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
」 と蔵の中に、何とやらと言った、その口の下…… 「手前《てまえ》じゃ、まあ、
持物《もちもの》と言ったようなものの、言わばね、織さん、何んですわえ。それ、貴下....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
あった。 船で河から市川へ出るつもりだから、十七日の朝、小雨の降るのに、一切の
持物をカバン一個《ひとつ》につめ込み民子とお増に送られて矢切の渡へ降りた。村の者....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
の子供を引連れた一族もその内の一群であった。大人はもちろん大きい子供らはそれぞれ
持物がある。五ツになるのと七ツになる幼きものどもが、わがままもいわず、泣きもせず....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
貰った時の移香を、今かく中古に草臥れても同一香の香水で、追かけ追かけ香わせてある
持物を取出して、気になるほど爪の伸びた、湯が嫌らしい手に短い延の銀|煙管、何か目....
「妖術」より 著者:泉鏡花
の艶な姿で、電車の中から、颯と硝子戸を抜けて、運転手台に顕われた、若い女の扮装と
持物で、大略その日の天気模様が察しられる。 日中は梅の香も女の袖も、ほんのりと....
「恐竜島」より 著者:海野十三
アとラルサンの二人。 これで十人だ。 伯爵団長に急がされて、みんなそれぞれの
持物を持ってボートの中へ乗り移る。 張さんが、食糧係で、二人の水夫をさしずして....
「怪塔王」より 著者:海野十三
も流れていません。渦を巻く海水の中を見ましたが、怪塔王の死体も見えなければ、その
持物も何一つ浮いていないではありませんか。 怪塔王が死んだと思ったのは、あの岩....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
「クサカ」と名を呼ばれる度に何の心配もなく庭に走り出るようになった。クサカは人の
持物になった。クサカは人に仕えるようになった。犬の身にとっては為合者になったので....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
滝太郎に指環を与えた女賊白魚のお兼である。もとより掏賊の用に供するために、自分の
持物だった風変りな指環であるから、銀流を懸けろといって滝太が差出したのを、お兼は....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
い大戸の端へ手を掛けて、目ばかり出して…… その時分には、当人|大童で、帽子も
持物も転げ出して草隠れ、で足許が暗くなった。 遥か突当り――崖を左へ避けた離れ....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の頭の皮の表面にいつ出来たものかずいぶん幾個所も瘡だらけの禿があった。これは彼の
持物であるが、彼のおもわくを見るとあんまりいいものでもないらしく、彼は「癩」とい....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
、はた菫の花束に似たるあり。紫羅傘と書いていちはちの花、字の通りだと、それ美人の
持物。 散策子は一目見て、早く既にその霞の端の、ひたひたと来て膚に絡うのを覚え....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
いた、浴衣の上へちょいと袷羽織を引掛けた艶なのも吻々と遣る。実はこれなる御隠居の
持物で。 鉄と謂われたのはやっきとなり、 「やい、じゃあ汝あどうだ、この間鉄砲....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
すから、私はそんなに大した事だとも思いませんでしたが、成程、考えて見ると、そのお
持物は、こりゃちと変でしたね。 もうね結構なものとは思わないけれど、今朝お出か....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
ようすで、馬車につまれている、ふうがわりな荷物に見とれていた。 ふつうの人間の
持物らしいのは、トランクだけだった。トランクは二個あった。そのほかの荷物ときたら....