指を屈する[語句情報] » 指を屈する

「指を屈する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

指を屈するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
を免がれて、記憶すべき日本の騎士時代を後世に伝えんとする天主閣の数は、わずかに十指を屈するのほかに出ない。自分はその一つにこの千鳥城の天主閣を数えうることを、松....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
る家で、会場は蚕室の階下であった。千歳村でも戸毎に蚕は飼いながら、蚕室を有つ家は指を屈する程しか無い。板の間に薄べり敷いて、大きな欅の根株の火鉢が出て居る。十五....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
氏、同筆者等に謀った結果、銅像建設の議が起った。しかし前述の通り旧門下といっても指を屈する程度にしか残存していないので、大きな計画は無論出来ない。そのために前記....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
の流も清水の音信。 で、真先に志したのは、城の櫓と境を接した、三つ二つ、全国に指を屈するという、景勝の公園であった。 二 公園の入口に、樹林を....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
聖ベネディクトの重い規則をになうべき肩も、やがては前にかがんだ痛ましいもののみ十指を屈するにすぎなくなることが見えていた。しかもその重荷は絶対的のものであって、....
愛読した本と作家から」より 著者:黒島伝治
るが、本当に、ペンをとってブルジョアを叩きつぶす意気を持ってかゝっている者は、五指を屈するにも足りない。僕は、トルストイや、ゴーゴリや、モリエールを(メリメは別....
学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
挙げて言わん。方今世の洋学者流はおおむねみな官途につき、私に事をなす者はわずかに指を屈するに足らず。けだしその官にあるはただ利これ貪《むさぼ》るのためのみにあら....
放水路」より 著者:永井荷風
和十一年の春、たまたま放水路に架せられた江北橋《こうほくばし》を渡るその日まで、指を屈すると実に二十有二年、一たびも曾遊《そうゆう》の地を訪《おとな》う機会がな....
「自然」を深めよ」より 著者:和辻哲郎
うべき人々がそれでもって狂喜し狂奔し狂苦している。さらにまた新しい「神の子」が五指を屈するほどに出現している。それは少なくとも現実である。そうして眼を開いて見る....
西航日録」より 著者:井上円了
を一瞰するを得。 句がまけて唯なるほどゝいふばかり これ、スイス山水中、一、二指を屈する風景なり。 十九日、朝スイスのバーゼルを発し、フランス・パリに向かう....
フランケンシュタイン」より 著者:宍戸儀一
ベストセラーになったわけである。爾来、今日にいたるまで、怪奇小説としてまず最初に指を屈するものが、この『フランケンシュタイン』であり、今では英語の辞書を開けば、....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
楽しみまた作らせる原因をなしたと思われます。 石見の古い町といえば津和野に誰も指を屈するでしょう。亀井藩で今も昔の屋敷が見られます。近くの益田は雪舟の庭を以て....
」より 著者:中谷宇吉郎
下総《しもうさ》古河《こが》の城主|土井大炊頭利位《どいおおいのかみとしつら》に指を屈するばかりである。この土井利位なる人が如何なる殿様であったかを『大日本人名....
遠野物語」より 著者:柳田国男
き中に死人ありとか家が焼くるとかいうなり。帰りて掘りて見るに必ずあり。かかる例は指を屈するに勝えず。 一〇九 盆のころには雨風祭とて藁にて人よりも大なる人形を作....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
新たに起ったもので、鎌倉幕府以来の大名の子孫が、そのまま継続しているものは僅かに指を屈するばかりしかない。彼らの中には薬屋だとか、桶屋だとか、野武士だとか、水呑....