挙げる[語句情報] »
挙げる
「挙げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
挙げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
めました。そうしてその年の変った明治二十六年の初夏には、いよいよ秋になったら式を
挙げると云う運びさえついてしまったのでございます。
するとその話がきまった頃か....
「母」より 著者:芥川竜之介
」
女はこう答えてから、ちょいとためらう気色《けしき》を見せた。しかしすぐ眼を
挙げると、気の毒そうにつけ加えた。
「御宅ではとんだ事でございましたってねえ。」....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
そうに啣えていたパイプを離しながら、四つ折の十円札へ目を落した。が、たちまち目を
挙げると、もう一度|金縁《きんぶち》の近眼鏡の奥に嬌羞に近い微笑を示した。
「そ....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
それが、所謂片恋の悲しみなんだそうだ。そうしてその揚句に例《エキザンプル》でも
挙げる気だったんだろう。お徳のやつめ、妙なのろけを始めたんだ。君に聞いて貰おうと....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
お蓮は顔を曇らせたなり、しばらくは口を噤《つぐ》んでいた。が、突然涙ぐんだ眼を
挙げると、
「あなた、後生《ごしょう》ですから、御新造《ごしんぞ》を捨てないで下....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
憎み切れるとすれば、もっと仕合せになっているでしょう。(突然また凱歌《がいか》を
挙げるように)しかし今は大丈夫です。あなたがたは昔のあなたがたではない。骨と皮ば....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
くしの決断《けつだん》を鈍《にぶ》らせました。わたくしはとうとう数馬の上へ、当然
挙げるはずの扇を挙げずにしまったのでございまする。二人はまたしばらくの間《あいだ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
彼は際《きわ》どい声を出した。若者はその容子《ようす》を見ると、凱歌《がいか》を
挙げるように笑い出した。
「そら、御覧なさい。隠したってすぐに露《あら》われます....
「少年」より 著者:芥川竜之介
に帆前船の三角帆を直していた。が、硝子《ガラス》障子のあいた音にもう一度ふと目を
挙げると、父はちょうど湯気《ゆげ》の中に裸《はだか》の背中を見せたまま、風呂場の....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
りませんでした。そう云う苦しい沈黙が、しばらくの間続いた後で、お敏は涙ぐんだ眼を
挙げると、仄《ほの》かに星の光っている暮方の空を眺めながら、「いっそ私は死んでし....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
た。すると右舷の大砲が一門なぜか蓋を開かなかった。しかももう水平線には敵の艦隊の
挙げる煙も幾すじかかすかにたなびいていた。この手ぬかりを見た水兵たちの一人は砲身....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
暮して行くつもりか」 杜子春はちょいとためらいました。が、すぐに思い切った眼を
挙げると、訴えるように老人の顔を見ながら、 「それも今の私には出来ません。ですか....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
風物と同じような色の着物を着ていた。それが汽車の通るのを仰ぎ見ながら、一斉に手を
挙げるが早いか、いたいけな喉を高く反らせて、何とも意味の分らない喊声を一生懸命に....
「犬養君に就いて」より 著者:芥川竜之介
んだ作品は何れも手を抜いたところはない。どれも皆丹念に出来上っている。若し欠点を
挙げるとすれば余り丹念すぎる為に暗示する力を欠き易い事であろう。 それから又犬....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
した。僕等のかれをいじめたのは格別理由のあった訳ではない。若し又理由らしいものを
挙げるとすれば、ただかれの生意気だった――或はかれのかれ自身を容易に曲げようとし....