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挙って
「挙って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
挙っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
松藩は、徳川宗家にとっては御三家に次ぐ親しい間柄である。従って、維新の時、一藩|
挙って宗家大事という佐幕派であった。 鳥羽伏見で敗れると、小河、小夫の両家老は....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
でたく帰参したときは、新発田藩では、嫡子主膳正|直溥の世になっていた。が、君臣は
挙って、幸太郎兄弟が三十年来の苦節を賛嘆した。幸太郎は、亡父の旧知百五十石に、新....
「乱世」より 著者:菊池寛
議論に疲れていた――また心のうちでは、帰趨に迷うていた――多くの藩士たちは、
挙ってその説に賛成した。 こうして、籤は作られた。発案者の酒井が選ばれて、籤を....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
「たのみますよ」 時に、かの女のいるテーブルの反対側の広間から、俄に鬨の声が
挙って、手擲弾でも投げつけたような音がし出した。かの女はぴくりとして怯えた。同じ....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
意に橋の上に味方の騎兵が顕れた。藍色の軍服や、赤い筋や、鎗の穂先が煌々と、一隊|
挙って五十騎ばかり。隊前には黒髯を怒らした一士官が逸物に跨って進み行く。残らず橋....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、幾歳、幾歳、年齢とが彫りつけてございましてな、何時の世にか、諸国の婦人たちが、
挙って、心願を籠めたものでございましょう。ところで、雨露に黒髪は霜と消え、袖裾も....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
ない。扉船内の海水が排除されて、その巨大な鋼鉄製の扉船が渠門の水上へポッカリ浮び
挙っても、それからその浮び挙った扉船を小船に曳かして前方の海上へ運び去り、小蒸汽....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
我が食通のごときは、これに較ぶれば処女の膳であろう。 要するに、市、町の人は、
挙って、手足のない、女の白い胴中を筒切にして食うらしい。 その皮の水鉄砲。小児....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。チャンチキ、チャンチキ、田舎の小春の長閑さよ。 客は一統、女中たち男衆まで、
挙って式台に立ったのが、左右に分れて、妙に隅を取って、吹溜りのように重り合う。真....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
のに、掠奪事件が十何件もあってまるきり挙らない。わたしの顔がどこに立つ? 罪人が
挙っても君はまだ愚図々々している。これが旨く行かんと乃公の責任になるんだよ」 ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
ひらめきが多数に見えた。壁の破れ穴、板戸の節穴。眼に有らざるは無しであった。村を
挙って今日の珍客を見物に来ているのと知れた。中には階子を掛けて軒口から見るのさえ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
かかわらず、世間は盛んに嘖々して歓迎し、『東朝』編輯局は主筆から給仕に到るまでが
挙って感歎した。前には満蒙に関する二葉亭の論策研究を虐待した『大朝』の編輯局が二....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
居ますが、ごく辺鄙の地即ちヒマラヤ山中のトルボという所のある村落は、一村三十軒|
挙ってポンボ族であります。そういう所は別ですが一村あるいは一地方にポンボ族が一人....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
作は絶え、畜産は滅び、食糧には窮乏して来た。従って、結氷期にでもなると、幌内川を
挙って南下しかねないという。橇を駆ってだ。それで敷香では無論防禦の武器はいくらか....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
はただ三度彼女を見たというだけですし、彼女の死については誰も疑っていない、犯人は
挙っているんですしね、せっかく皆から惜まれて、立派な夫人として死んで行った人の暗....