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振向く
「振向く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
振向くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ありがと》う、お琴《こと》さん。」 とはじめて親しげに名を言って、凝《じっ》と
振向くと、浪《なみ》の浅葱《あさぎ》の暖簾越《のれんごし》に、また颯《さっ》と顔....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
襟を扱きながら、お蔦が襖から、すっと出て、英吉の肩へ手を載せると、蹌踉けるように
振向く処を、入違いに床の間を背負って、花を庇って膝をついて、 「厭ですよ、私が活....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
と退る。 夫人 (間)誰。 図書 はっ。(と思わず膝を支く)某。 夫人 (面のみ
振向く、――無言。) 図書 私は、当城の大守に仕うる、武士の一人でございます。 ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
薄気味の悪い事を云うな。では、君の細君は、……(云いつつ憚る。) 晃 (納戸を
振向く)衣服でも着換えるか、髪など撫つけているだろう。……襖一重だから、背戸へ出....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
るまで、二人が――思わず熟と姉妹の顔を瞻った時、忽ち背中で――もお――と鳴いた。
振向くと、すぐ其処に小屋があって、親が留守の犢が光った鼻を出した。 ――もお―....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、一息の下に見渡して、我を笑うと心着いた時、咄嗟に渋面を造って、身を捻じるように
振向くと…… この三角畑の裾の樹立から、広野の中に、もう一条、畷と傾斜面の広き....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
お方。」 と急込んで、訳もない事に不機嫌な御亭が呼ばわる。 「何じゃいし。」と
振向くと、……亭主いつの間にか、神棚の下に、斜と構えて、帳面を引繰って、苦く睨み....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
うかと釣出されずにゃいねえんだね。どうですえ、……それ、来ました。」 と不意に
振向く、階子段の暗い穴。 小村さんも私も慄然した。 女房はなおの事…… 「あ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
、ちっとは眺望になりますよ。) と声を掛けます。はて違うぞ、と上から覗くように
振向く。下に居て、そこへ、茶盆を直した処、俯向いた襟足が、すっきりと、髪の濃いの....
「多神教」より 著者:泉鏡花
とする。きゃッきゃッきゃッきゃッ。あはははは。お馬丁は小腰をゆするが、蘆毛よ。(
振向く)お厩が近うなって、和どのの足はいよいよ健かに軽いなあ。この裏坂を帰らいで....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ろう。 四 金石街道の松並木、ちょうどこの人待石から、城下の空を
振向くと、陽春三四月の頃は、天の一方をぽっと染めて、銀河の横たうごとき、一条の雲....
「山吹」より 著者:泉鏡花
眉を落して、髪も解いて、羽織を脱いでほうり出して、帯もこんなに(なよやかに、頭を
振向く)あの、蓮葉にしめて、「後生、内証だよ。」と堅く口止をしました上で、宿帳の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ほんのもうお嬢様の癇癪、」 途端にお夏が帳場格子をコトコトと叩いて気を着けた。
振向くと眉を顰めて、かぶりを振って見せたので、 「癇、」と行詰り、 「癇……癪な....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
り下に置く。 「ええ、もし、」 「はい。」と目金を向ける、気を打った捨吉も斉しく
振向くと、皺嗄れた声で、 「お前さん、御免なさいまし。」 敷居際に蹲った捨吉が....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
傘に葉ずれの音がします。うしろから柳の寝ン寝子を着せ掛けられるような気がして
振向くと、一つに包まったほど、小雨もほの暖く湯上りの白い膚が、単衣を透通るばかり....