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振子
「振子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
振子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
止《およ》し。御止し。」
彼女は思わず息を呑んだ。が、声だと思ったのは、時計の
振子《ふりこ》が暗い中に、秒を刻んでいる音らしかった。
「御止し。御止し。御止し....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
天井の両側に行儀よく並んでいる吊皮《つりかわ》が、電車の動揺するのにつれて、皆|
振子《ふりこ》のように揺れていますが、新蔵の前の吊皮だけは、始終じっと一つ所に、....
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
りの、卓子《テーブル》で言うなら主人役の位置に窓を開いていた。 時どき柱時計の
振子の音が戸の隙間から洩れてきこえて来た。遠くの樹に風が黒く渡る。と、やがて眼近....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
の上隅に、同じよう跨っているのです。そこで、私が、なぜ前もって桟窓を閉じ、時計の
振子を停めたか、その理由を申しましょう。現在あの男は、紙帳の中に眠っているのです....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
n Junis)が活動していてこの人はガリレオより六〇〇年余の昔既に時間の測定に
振子を使った。彼はまた非常に有名な天文学上の表を算出している。これとほとんど同時....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
の時計をよく調べてみると、見かけはなるほど動いているが、内部に故障がある。それは
振子が強い磁力を帯びていることだ。そのために、
振子は附近の歯車や何かにいつも強く....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
っていなかったし、その腕金を見ることもできなかった。それに腕金は端の方に、時計の
振子を大きくしたような相当な錘りがついていたから、腕金を上げるのにかなり骨が折れ....
「階段」より 著者:海野十三
えると、その瞬間、鼻先に幼稚園がえりらしい女の子の赤い靴が小さい音をたてて時計の
振子のように揺らいで行ったのを「一ツ」と数えて「幼年女生徒」の欄へ棒を一本横にひ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
った。が、その様子は、どうやら耳を凝らしているように思われた。刻々と刻む物懶げな
振子の音とともに、地底から轟いて来るような、異様な音響が流れ来たのであった。
....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
になってしまった。両脚――いや両のズボンに重い靴をくっつけたのが、ぶらんぶらんと
振子運動をつづけている。 帆村は、たまりかねたように、課長の首へ手をかけて引き....
「時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
ふらになって、ぶっ倒れそうになった。しかもまだ、教えられたとおり、大時計の歯車と
振子《ふりこ》のあるところまでつかないのであった。 このとき八木少年は知るよし....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
られる。すなわち、まず第一号を読んでみると、 一、八角形ノ文字盤ヲ有シ、其ノ下二
振子函アル柱時計ニシテ、文字盤の裏ニ赤キ「チョーク」ニテ3036ノ数字ヲ記シアル....
「火星兵団」より 著者:海野十三
いが、並べて二つかけてあった。
どっちも、たいへん古めかしい飾りがついている、
振子形の旧式時計であった。
振子は、どっちの時計の
振子も、とまっていた。つまり....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
床にはいるを常としたり。その生活の規則的なる事、エマヌエル・カントの再来か時計の
振子かと思う程なりき。当時僕等のクラスには、久米正雄の如き或は菊池寛の如き、天縦....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
嗟の驚愕に彼女はふらふらと蹌いた。 そこには、梁骨に紐を吊して、ふんわりとした
振子のようなものが、揺れていた。ああ、なんとこの事件の艇長フォン・エッセンはウル....