»
挾む
「挾む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
挾むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
風は解けかかった氷をみなわれわれのうしろへ吹きよせて、二つの氷山の間へわれわれを
挾むのである。どうぞ助かるようにと、私はかさねて言う。 九月十四日。日曜日にし....
「絶望より生ずる文芸」より 著者:小川未明
の事だけに満足が出来なく、自己の存在を明にする唯一の意識、即ち感覚そのものに疑を
挾む事も出来得るのである。只だ人生の保証として、又事実として自分の有して居る感覚....
「正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
をも詐わるのだ。真剣であるならば、その態度に対して、第三者は、いさゝかの疑念をも
挾むことができないだろう。即ち、作家の態度が第一義に即しているならば、――独り作....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鎮子が最初発した言葉が、こうであった。
「今まで、空室だったのでは」と検事が口を
挾むと、
「そう申すよりも、開けずの間と呼びました方が」と鎮子は無遠慮な訂正をし....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
渡りをして来たかの人足廻しのダルケさえ、私の心事について素振に対して一点の疑いを
挾むこともなく、かえって閉口頓首してその日の中に送り出すようにしてくれたというの....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
(『武功雑記』に、「此度権現様小笠原与八郎を先手に被せ付けられ候。与八郎下心に
挾む所ありと雖も、辞退に及ばずして、姉川にて先手致し勝利を得申し候。其時節与八郎....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
したら、莫迦を見る上に外聞も悪い。これは一層断わった方がいいな。……だが両刀を手
挾む身分だ、見込んで頼むといわれては、どうも没義道に突っ放すことは出来ぬ。どうも....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
は殆どグーの音も出ぬ、只呆れて、我知らず椅子を離れて立ち上った、最早少しの疑いを
挾む所はない、秀子は全く夏子の化けた者である、心の底には猶承知し兼ねる所が有る様....
「運命」より 著者:幸田露伴
、 楽まず 郷井の中を。 茫乎たる 宇宙の内、 飄転して 秋蓬の如し。 孰か云ふ
挾む所無しと、 耿々たるもの 吾胸に存す。 魚の※に止まるを為すに忍びんや、 禽....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
くものもある。たといそれがやむにやまれぬ慨世のあまりに出た言葉だとしても、天子を
挾むというはすなわち武家の考えで、篤胤の弟子から見れば多分に漢意のまじったもので....
「読書法」より 著者:戸坂潤
が、唯物史観による日本宗教史の唯一のものだという点に就いては、世間は殆んど疑問を
挾む余地を持つまい。唯物史観に立たないものでも、こう手短かに且つ体系的に纏った日....
「加波山」より 著者:服部之総
えて村に出る。自由大学の会員である二人の青年が出迎えてくれて、二台の自転車に私を
挾むようにして暮れ方の坂道を登る。私の講座は明朝九時からで、会場は峠を下りきった....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
、表にも裏にも中から心張棒が支《か》ってあった事実から見て自殺という説には疑いを
挾む余地がなかった。兄弟とはいえ好人物の助三郎とは違い、人にも爪弾《つまはじ》き....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
も縊れ死んだのか――。」 「何か、細紐のようなものででも――。」 彦兵衛が口を
挾むと、 「いや、皺の寄り具合えから見ると、こうと、糸を束ねたような物だな。三味....
「早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
れは女だから、三次、帯を押さえた。左手で握ってぐっと引き寄せ、肘を相手の腋の下へ
挾むようにして持ち上げながら、右手で切る片抜手竜宮覗き。水下三寸、人間の顔は張子....