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「挿す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

挿すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
天守物語」より 著者:泉鏡花
を据えたり。 ――侍女等、女童とともにその前に行き、跪きて、手に手に秋草を花籠に挿す。色のその美しき蝶の群、斉く飛連れてあたりに舞う。雷やや聞ゆ。雨|来る。 薄....
」より 著者:金子ふみ子
はそこで歯の折れた櫛を髪に挿して、頭から振り落す稽古をした。 「そんなにしっかり挿す必要はない。そっと前髪の上に載っけておけばいいんだ」と父はいった。 「うちの....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
赤前垂。 左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄の紋付、文金の高髷に緋の乙女椿の花を挿す。両方に手を支いて附添う。 十五夜の月出づ。 白雪 ふみを読むのに、月の明は....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
浅黄や、絞の鹿の子の手絡を組んで、黒髪で巻いた芍薬の莟のように、真中へ簪をぐいと挿す、何|転進とか申すのにばかり結う。 何と絵蝋燭を燃したのを、簪で、その髷の....
静岡地震被害見学記」より 著者:寺田寅彦
り古い泥がつまっていて、ボルトなんか挿してあった形跡が見えない。これは、設計では挿すことになっていたのを、つい挿すのを忘れたのか、手を省いて略したのか、それとも....
五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
のはベルリンに住んではじめての聖霊降臨祭の日に近所の家々の入口の軒に白樺の折枝を挿すのを見て、不思議なことだと思って二、三の人に聞いてみたが、どうした由来による....
桜の園」より 著者:神西清
を落す。 エピホードフ (花束をひろう)これを庭男がとどけてよこしました。食堂に挿すようにってね。(ドゥニャーシャに花束をわたす) ロパーヒン ついでにクワスを....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
た、すがれた秋草を取揃えて持って来て、李朝白磁の手頃なふっくりした花瓶に無造作に挿す。すすきの萎えた穂と唐糸草の実つきと、残りの赤い色を細かにつけた水引草と、そ....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
、どうも馬鹿な破目になって、弱っているところだ。大きな声じゃ言えないが、あの櫛を挿す娘は、みな妙な死方をする」 「先生、威《おど》かしちゃいけません」 「いや、....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
さと寂しさとを、しみじみ哀傷深く感じたのである。 山吹《やまぶき》や笠《かさ》に挿すべき枝の形《なり》 ひとり行く旅の路傍に、床しくも可憐《かれん》に咲いてる....
鉄鉢と魚籃と」より 著者:種田山頭火
で早くから眼が覚めて、夜の明けるのが待ち遠しかった。 芋の葉を机上の日田徳利に挿す。其中庵にはふさわしい生花である。 小雨がふりだした。大根を播く。托鉢はや....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
にお風説なんかして。」 と、膝を折りつつ低く居て、片手に松葉を拾う時、簪を鬢に挿すのであった。 多津吉は向直って、 「それから。」 「まあ、その銅壺に、ちゃ....
菜の花物語」より 著者:児玉花外
た様な眼がキット釣上っている、それがまるで孤の面に似ている。ぬばたまの夜の黒髪に挿すヒラヒラする銀紙の花簪、赤いもの沢山の盛装した新調の立派な衣裳……眉鼻口は人....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
り込めたる龕に、受苦聖母の祈願像あり。その前に花瓶。グレエトヘンそれに新なる花を挿す。 グレエトヘン 痛おおきマリア様 どうぞお恵深く、お顔をこちらへ....
性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
いた。幾十年来点しつけているその手つきは枯れたものであった。新しい燈心草を土器に挿すと、油壺は静かに寛くその土器にそそがれ、そしていつも点火された。それは実に静....