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捉える
「捉える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
捉えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
ぼ》り列車は長い汽笛を鳴らしながら、余り速力を早めずに堤の上を通り越した。保吉の
捉える下《くだ》り列車はこれよりも半時間遅いはずだった。彼は時計を出して見た。し....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
の喜劇は年少の為、或は訓練の足りない為、破廉恥漢の非難を受けた後に、やっと良心を
捉えることである。
*
良心とは厳粛なる趣味である。
*
良....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
すちあん」の下半身《しもはんしん》。彼の手は体を支えながら、偶然岩の上の十字架を
捉える。始めは如何《いか》にも怯《お》ず怯《お》ずと、それから又急にしっかりと。....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
が、本当は三十六歳である。しかし、如何にも三十六歳らしい顔をしている土門の印象を
捉えることは容易ではない。つまり非常に老けて見えたり若く見えたりするのだ。土門は....
「世相」より 著者:織田作之助
して、これだけは信ずるに足る具体性だと思ってやってるんですよ。人物を思想や心理で
捉えるかわりに感覚で捉えようとする。左翼思想よりも、腹をへらしている人間のペコペ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
はいよいよ驚いて止めようとすると、紋作ももう覚悟したのだろう。相手がよろけながら
捉える手を振り払って、今度は自分の脇腹へ突っ込んでしまったので、黒崎も途方にくれ....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
ことも敢えて難事ではない。時局が大急転するときは、後進国が先進者を追い越す機会を
捉えることが比較的に容易である。科学教育の徹底、技術水準の向上、生産力の大拡充が....
「蠅」より 著者:海野十三
近に必ず住んでいるに違いありません。さあ行きましょう。行って、その間接の殺人魔を
捉えるのです」 二人は病理学研究室を飛び出すと、すぐに自動車を拾った。いわゆる....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
へ這い出した。又もや大騒ぎになって追いかけたが、すっぽんは非常に足が疾いので遂に
捉えることが出来ず、近所の川へ逃げ込ませてしまった。 それから幾日の後、かのす....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
んだ。
「うん、虹の両脚の所には、黄金の壺があると云うがね。恐らく、あの虹だけは
捉えることが出来るだろう。何故なら熊城君、だいたい虹には、視半径約四十二度の所で....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ったが、久しいあいだ捕獲することが出来ない。 我来也の名は都鄙に喧伝して、賊を
捉えるとはいわず、我来也を
捉えるというようになった。 ある日、逮捕の役人が一人....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
再現することが出来ないのであると主張していた。 「わたしは未だ曾て月の薄い光りを
捉えることも出来ず、又は日の光りを思うがままに捉え得なかった。私の大理石には、魂....
「郷愁」より 著者:織田作之助
れになって転がって行く円い玉であった。この円い玉をどこまで追って行っても、世相を
捉えることは出来ない。目まぐるしい変転する世相の逃足の早さを言うのではない。現実....
「酋長」より 著者:岡本かの子
づきが、この庭に切々感じられた。 「ここに鼬の係蹄が仕掛けてあるよ」「あれが鵯を
捉える羽子だ」そして、「茸を生やす木」などと島吉が指さすのを見ながら、これが東京....
「文章を作る人々の根本用意」より 著者:小川未明
こで、今諸君に望むところは、大胆に試みよということだ。 一日の生活のある一片を
捉えるのもいゝし、ある感情の波動を抒べるのもいゝし、ある思想に形を与えるのもいゝ....