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「捩れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

捩れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
帰った。愛別離苦の悲しみと偉大なものに生命を賭ける壮烈な想いとで翁の腸は一ねじり捩れた。こどもを山にかずける度びに翁の腹にできたはらわたの捻纏《ねんてん》は、だ....
」より 著者:岡本かの子
んなこと、何とも返事できないわ」 という。さすがに、それには極く軽い媚びが声に捩れて消える。客は仄かな明るいものを自分の気持ちのなかに点じられて笑う。ともよは....
婦系図」より 著者:泉鏡花
い方へ顔の向いたを、こなたへ見返すさえ術なそうであった。 枕から透く、その細う捩れた背へ、小芳が、密と手を入れて、上へ抱起すようにして、 「切なくはないかい、....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ゝ、鋭い眼で机の上を睨んでいたが、ふと吸取紙に眼がついた。気の故だか少し位置が、捩れているようだ。 彼は吸取紙を取上げて、頭の上の電燈に照して見た。 「しまっ....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
の書物を探し出して、行李へ蓋《ふた》をしようとしたはずみに、彼の躯は奇妙な恰好に捩れて、歪められた鉄管のようになった。その瞬間、何とすばやい速度であったろう、咳....
古狢」より 著者:泉鏡花
の車麩から、ずらずらと降って来るようじゃあないか。」 「可厭、おじさん。」 と捩れるばかり、肩を寄せて、 「気味が悪い。」 「じゃあ、言直そう。ここは蓮池のあ....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
余り多くは喰べない。しかしその少しの食物が犬の様子を大相に変えた。今までは処々に捩れて垂れて居て、泥などで汚れて居た毛が綺麗になって、玻璃のように光って来た。こ....
丘の上」より 著者:豊島与志雄
四五寸ほどにゅっとつき出た背骨を中心に、肉とも布ともつかないものが渦のようによれ捩れて、真赤な血に染んでいた。火夫はそれを無雑作に線路の横の草地に放り出した。 ....
巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
の影に刻み込まれた。 部屋一ぱいの男客、女客の姿態は珈琲の匂いと軽い酒の匂いに捩れ合って、多少醗酵しかけている。弾む話。―― 「巴里の消防署長が、火事のときに....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
て導きながら、お葉は館の方へ走るのであった。 行くまいともがく松女の姿は、捻れ捩れ痛々しかった。 「お葉やお葉や堪忍しておくれ、あそこへばかりは妾は行けない!....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
と挟んで、足を二本ずっと出しています。頭は月代が広く、あお向いた頸元に小さな髷が捩れて附いていて、顔は口を開いてにこやかなのは、微酔加減で小唄でもうたっているの....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
いそこへ、並木を来かかる。…… 年増分が先へ立ったが、いずれも日蔭を便るので、捩れた洗濯もののように、その濡れるほどの汗に、裾も振もよれよれになりながら、妙に....
雪柳」より 著者:泉鏡花
ろへ、六十近いお婆さんだから、懐しさぶりを露骨に、火鉢を押して乗出した膝が、襞※捩れの黒袴。紬だか、何だか、地紋のある焦茶の被布を着て、その胡麻塩です。眉毛のも....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
瀑の太い水柱が、奇妙に抉れた岩の樋からぐいと押し出されるはずみに、二度三度虚空に捩れて、螺旋状に拡りながら霧の如き飛沫を噴いて、大釜に跳り込んでいる。仰ぎ見ると....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
されている。それだけに此処は物凄い淵を成し、薄濁りを帯びた水が大きな渦を巻いて、捩れた漏斗のような口を開きながら、底の方から気味悪るい音を吐き出している。崖にの....