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据える
「据える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
据えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
もしない御竹倉《おたけぐら》の空をじっと眺めていましたが、やがてその眼を私の顔に
据えると、低いながらも力のある声で、『どうもしない。一週間ばかり前に離縁をした。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
、自分の座蒲団《ざぶとん》を向うへ直した。が、叔母はそれは敷かずに、机の側へ腰を
据えると、さも大事件でも起ったように、小さな声で話し出した。
「私は少しお前に相....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
、顔を出しているのが常である。 或殿が領分巡回の途中、菊の咲いた百姓家に床几を
据えると、背戸畑の梅の枝に、大な瓢箪が釣してある。梅見と言う時節でない。 「これ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たろう。 「余り高価いよ。」と立ちかける。 「お幾干で? ええ、旦那。」 と引
据えるように圧えて云った。 「半分か。」 「へい。」 「それだって廉くはない。」....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ていたのに違いないのだ。建網に損じの有る無し、網をおろす場所の海底の模様、大釜を
据えるべき位置、桟橋の改造、薪炭の買い入れ、米塩の運搬、仲買い人との契約、肥料会....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
時間御休憩で?」 「源助、その事だ。」 「はい。」 と獅噛面を後へ引込めて目を
据える。 雑所は前のめりに俯向いて、一服吸った後を、口でふっふっと吹落して、雁....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
影が映る。 私はいつまでも持っている。 手箪笥の抽斗深く、時々|思出して手に
据えると、殻の裡で、優しい音がする。....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
それから、十畳敷を閉込んで、床の間をうしろに、どこか、壁へ向いて、そこへ婦の魂を
据える、鏡です。 丑童子、斑の御神、と、一心に念じて、傍目も触らないで、瞻めて....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
「へい?……」 「やはりその、」 と張肱になった呼吸を胸に、下腹を、ずん、と
据えると、 「カーン! というて?」 どさりと樹から下りた音。瓜がぶらり、赤く....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
んのね、……まあ、先生方がお聞きなすっては馬鹿々々しいかも知れませんが、……目を
据える、生命がけの事がありましてね、その事で、ちょっと、切ッつ、はッつもやりかね....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
人は山の姿も見ず、松も見ず、松の梢に寄る浪の、沖の景色にも目は遣らず、瞳を恍惚見
据えるまで、一心に車夫部屋の灯を、遥に、船の夢の、燈台と力にしつつ、手を遣ると、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
きだったんですな。――」 「いかにも、」 と先達は、膝に両手を重ねながら、目を
据えるまで聞入るのである。 「黙っています。が、こう、水の底へ澄切ったという目を....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
るりと仰向けになった胸が、臍まで寛ける。 清水はひとり、松の翠に、水晶の鎧を揺
据える。 蝉時雨が、ただ一つになって聞えて、清水の上に、ジーンと響く。 渠は....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、ほかの世話はかまいませんけど、媒妁だけは、もう止してね。」 と、眉が迫って見
据えるのです。 「媒妁?」 「――名はいいますまい、売ッ子ですよ。私たちのお弟子....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
、新さん、あなたなら、あなたならば男だからいえるでしょう。いまにあなた章魚に灸を
据えるとか、蟹に握飯をたべさすとかいう話でもしてあげて下さいまし。私にゃ、私にゃ....