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「捲く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

捲くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世相」より 著者:織田作之助
えば醜体だ。不良少年はお前だと言われるともはやますます不良になって、何だいと尻を捲くるのがせめてもの自尊心だ。闇に葬るなら葬れと、私は破れかぶれの気持で書き続け....
朱日記」より 著者:泉鏡花
ら揺って沸立たせるような凄まじい風が吹く。 その窓を見向いた片頬に、颯と砂埃を捲く影がさして、雑所は眉を顰めた。 「この風が、……何か、風……が烈しいから火の....
殺人の涯」より 著者:海野十三
き廻わし方が足りないのに違いない。私は落ちかかる白い実験衣の袖を、また肘の上まで捲くりあげた。 この白い液体の中には、実は女房の屍体が溶けこんでいるのだ。或る....
三人の双生児」より 著者:海野十三
弟のように見えた。そして痩せている方ではなかったが、顔色は透きとおるように白く、捲くれたような小さい唇はほんのちょっぴり淡紅色に染まっているというだけであって、....
蠅男」より 著者:海野十三
がさなかった。 「……二階へ上ったんだ」 そのときカーテンの端が、ほんのすこし捲くれた。そしてその蔭から、何者とも知れぬ二つの眼が現われて、ジッとこっちを眺め....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
で気づかなかったその鏡台の、燃えるような派手な友禅の鏡台掛けが、艶めかしくパッと捲くりあげられたままであり、下の抽斗が半ば引き出されて、その前に黄楊櫛が一本投げ....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
声で女中に命じた。 間もなく上品な装幀の日記帳が届けられた。洋吉氏は早速|頁を捲くる。 「ええと、これは先月……これこれ、恰度三日前のが記入してあります」 「....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
か夕日の余燼を冷まして磨いた銅鉄色に冴えかかっていた。表面に削り出しのような軽く捲く紅いろの薄雲が一面に散っていて、空の肌質がすっかり刀色に冴えかえる時分を合図....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
の背に仰けざまに置く。 百合 ああれ。(と悶ゆる。) 胴にまわし、ぐるぐると縄を捲く。お百合|背を捻じて面を伏す。黒髪|颯と乱れて長く牛の鰭爪に落つ。 嘉伝次 ....
死者の書」より 著者:折口信夫
くるめき出したのである。雲は火となり、日は八尺の鏡と燃え、青い響きの吹雪を、吹き捲く嵐――。 雲がきれ、光りのしずまった山の端は細く金の外輪を靡かして居た。其時....
黒百合」より 著者:泉鏡花
へ遁げ込むのを、容赦なく追詰めると、滝は廂を足場にある長屋の屋根へ這上って、瓦を捲くって投出した。やんちゃんもここに至っては棄置かれず、言付け口をするも大人げな....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
。こういう時は、その粉雪を、地ぐるみ煽立てますので、下からも吹上げ、左右からも吹捲くって、よく言うことですけれども、面の向けようがないのです。 小児の足駄を思....
『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
後の小説を書いてくれずになって、已むなく涙を嚥んで三ヶ月で科学大衆文芸運動の旗を捲くことにした。実に残念であった。前にもいったとおり昭和二年のことだった。 『壊....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
。 それは、血の怖れというよりも、むしろ慄っとするような美しさで、ちりちり尾を捲く暗緋の糸のようなものが、下へゆくほど太まり溶け拡がっていて、ちょうどそれは、....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
むを聞いて戯れに二十首を作る 橋本蓉塘 金碗孝吉 風雲惨澹として旌旗を捲く 仇讎を勦滅するは此時に在り 質を二君に委ぬ原と恥づる所 身を故主に殉ずる豈....