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掘割
「掘割〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掘割の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
「それにしてもよく来られたね?」
「なに、造作《ぞうさ》はありません。東京の川や
掘割りは河童には往来も同様ですから。」
僕は河童《かっぱ》も蛙《かえる》のよう....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
けの大根河岸《だいこんがし》には雪のつもった枯れ柳が一株、黒ぐろと澱《よど》んだ
掘割りの水へ枝を垂らしているばかりだった。
「日本《にほん》だね、とにかくこう云....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
お「海」という大きな神秘と、絶えず直接の交通を続けているためか、川と川とをつなぐ
掘割の水のように暗くない。眠っていない。どことなく、生きて動いているという気がす....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
り、夕べの靄が立ちこめていた。しかしまさしくその靄を破って、無数の立派な家々や、
掘割に浮かんでいる船が見えた。そうして太陽が没した時、電灯の輝くのが見て取れた。....
「東京要塞」より 著者:海野十三
私服の刑事ばかりが十四、五人。寝鎮った家の軒端や、締め忘れた露次に身をひそめて、
掘割ぞいの鋪道に注意力をあつめていた。 一体なにごとが始まるのだろうか。 「お....
「しっかり者のすずの兵隊」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
す。どうでしょう、ちょうど橋がおしまいになったところへ、下水が滝になって、大きな
掘割に流れこんでいました。それは人間が滝におしながされるとおなじようなきけんなこ....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
貨をおしつけて、すきみの穴をこしらえたものだ。あれはおもしろい見物だった。そとの
掘割には船が氷にとじられていた。乗組はみんなどこかへいっていて、からすが一羽のこ....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
ことと云わなければなるまい。早春の深夜の朧月が、江戸の家々と往来と、木立と庭園と
掘割と、
掘割の船とを照らしている。 九 ここの往来も月光を受け....
「妖婦」より 著者:織田作之助
神田の司町は震災前は新銀町といった。 新銀町は大工、屋根職、左官、畳職など職人が多く、
掘割の荷揚場のほかにすぐ鼻の先に青物市場があり、同じ下町でも日本橋や浅草と一風違....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
しは、もう直きだなあ」 寛文年間に、蚕飼川から平須沼へ掛けて、新たに五十間幅に
掘割られた新利根川。それは立木の台下に横わっているので有った。 程もなく二人は....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
者は無かったが、喫驚したのは葭原雀で、パッタリ、鳴く音を留めて了った。 中洲の
掘割の水筋に、船は入って見えなくはなったが、その過ぎるところの蘆の穂が、次ぎから....
「米」より 著者:犬田卯
た梅雨期の終りの、二日間打つづけの豪雨のおかげで、完全に干上ろうとしていた沼岸の
掘割沿いの田が、どくどくと雨水を吸い、軟かく溶けて来ていたのだ。 明け放れの早....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
至れば、小市街を成す。三人の幼児の乗りたる箱車を牽く犬もあり。石狩川の水を引ける
掘割の傍に宿屋ありけるが、小熊を鉄鎖にて木に繋げり。大人も小児も打寄りて見物す。....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
立の間から山谷堀の方をみるのがいい。――むかしながらの、お歯黒のように澱んだ古い
掘割の水のいろ。――が、それにつづいた慶養寺の墓地を越して、つつぬけに、そのまま....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
の渡し」はこの河岸から「明治病院」の裏手に当る河岸へ通っていた。その又向う河岸は
掘割になり、そこに時々どこかの家の家鴨なども泳いでいたものである。僕は中学へはい....