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「掛声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掛声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
日光小品」より 著者:芥川竜之介
射炉のまっかな光をたたえたかたわらに動いている。機械の運転する響き、職工の大きな掛声、薄暗い工場の中に雑然として聞えるこれらの音が、気のよわい私には一つ一つ強く....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ならちもなき事いうて悦んでいた。秋の日足の短さ、日はようやく傾きそめる。さアとの掛声で棉もぎにかかる。午後の分は僅であったから一時間半ばかりでもぎ終えた。何やか....
自叙伝」より 著者:大杉栄
もつくだろう。」 ――「そうだ。駈足だ! 駈足だ!」 ――みんなは大きな声で掛声をかけて、元気よく飛んで行った。その時の「Y(谷中)村鉱毒問題大演説会」と筆....
火星兵団」より 著者:海野十三
の巻尺の一端に、わしが護身用に持っていた猟銃をゆわいつけると、木の上から、やっと掛声をして、十メートルばかり離れた牢へなげこんだのじゃ」 「あはははは」 と、....
怪塔王」より 著者:海野十三
偵は、大胆にも怪塔王がうしろを向いたすきをのがすことなく、うしろから、「やっ」と掛声して飛びつきました。 「な、なにをする」 怪塔王はせせら笑いました。そして....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
を得たように、しかし、汚らしそうに、撮んで拡げました。 (よう!)と反りかえった掛声をして、 (みどり屋、ゆき。――荷は千葉と。――ああ、万翠楼だ。……医師と遁....
古狢」より 著者:泉鏡花
「しゃッ、しゃッ、しゃあっ!……」 寄席のいらっしゃいのように聞こえるが、これは、いざいざ、いでや、というほどの勢いの掛声と思えば可い。 「しゃあっ! 八貫―ウん、八貫、八貫、八貫と十ウ、九貫か、九....
南地心中」より 著者:泉鏡花
な大年増を一人、こっちの場所へ送込んだ。するとまたその婦が、や、どッこいしょ、と掛声して、澄まして、ぬっと入って、ふわりと裾埃で前へ出て、正面|充満に陣取ったろ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の手、笛の口が動くと思うと、ああ、遠い高い処、空の座敷で、イヤアと冴えて、太鼓の掛声、それが聞覚えた、京千代ちい姐。 ……ものの形をしたものは、こわいように、....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、のびれば欠伸、縮むと、嚔をしそうで可笑しい。 辻町は、欠伸と嚔を綯えたような掛声で、 「ああ、提灯。いや、どっこい。」 と一段踏む。 「いや、どっこい。」....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
く旅行をしました。家に帰ると流石に足に実が入って、大根のように太くなり、立つ時は掛声でもかけないと立てないほどになったことがありました。 お陰で今も足はたいへ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
は、胸も痛めず、怪我はしない。 しゃり、り、揚幕。艶麗にあらわれた、大どよみの掛声に路之助|扮した処の京の芸妓が、襟裏のあかいがやや露呈なばかり、髪容着つけ万....
雪柳」より 著者:泉鏡花
飲んで、中気|薬を舐めさせられた。その厭な心持。酔も醒めたといううちにも、エイと掛声で、上框に腰を落して、直してあった下駄を突っかける時、 「ああ月が出た。」 ....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
。」 その人も覗いて立った。 「水、水。」 「ほッ。」 と言う……姿に似ない掛声で、雪代は、ギイ、ギイ、キクン、カッタンと、古井戸に、白梅のちりかかる風情で....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
カラしたものよ。どっこいしょなら親仁相応なのに、(やあ、)と学生さんのような若い掛声で、むくりと起きた処が、脊の低い、はち切れそうな緊った身体さ。 あなた――....