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掴み出す
「掴み出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掴み出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
めてみろ。銀のほかに小判が出るかも知れねえ」 勘太は箱のなかの古い面を片端から
掴み出すと、果たして箱の底から五枚の小判があらわれた。 「親分、ありましたよ」と....
「前哨」より 著者:黒島伝治
ているのにきまっていた。 また、手拭いとフンドシと歯磨粉だった。彼等は、それを
掴み出すと、空中に拡げて振った。彼等は、そういうもの以外のものを期待しているのだ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
呉一郎の懐に突込んで、汚いハンカチで包んだ丸いものと、最前掘り出した魚の脊椎骨を
掴み出すと、素早く背後に隠してしまった。しかし呉一郎はチットモ気付かぬらしく、な....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
、吾輩が振翳している死骸なんかには眼もくれずに、ハンドバッグの中から分厚い札束を
掴み出すと、みんなの鼻の先へビラビラさせて見せまわしながら、ニッコリと笑った。銀....
「「或る女」についてのノート」より 著者:宮本百合子
感想では、作者は葉子と共に、あの面、この面、と転々しつつ、遂に葉子の不幸の原因は
掴み出すことが出来なかったように思える。葉子が自分の死の近いことを知った時、自分....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
念論一般を、最も特徴的に代表するような、観念論の何かもっと積極的な規定をここから
掴み出すことにある。こういう規定を使って初めて、例の言葉も今日実際的に活用出来る....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
した世論は相殺し合って何の世論も残らなくなって了うだろう。それでもなお何か世論を
掴み出すことが出来ると考えられる場合は、世論は実証性を欠いて神秘的手続きを以てか....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
批判そのものが問題の核心だったのだ。でこの事件から単なる匿名批評という問題だけを
掴み出すことは、この事件の社会的意義を少し横の方へ持って行って了うことになる。―....
「鉄路」より 著者:蘭郁二郎
シンとも、ビタビタともつかぬ、雑巾を踏みにじったような、異様な、胸の中のものを、
掴み出す音と、一緒に、男の躰はずたずたに轢き千切られて仕舞ったのだ。 今度は、....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
ていたように、ふくさ包の、書類らしいものが、入っていた。
庄吉は、それを右手で
掴み出すと共に――闇の中から、刀が首筋へ、今にも、斬り下ろされるように感じた。誰....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
車をつけると、シートの上へ倒れていた彼はむっくり起き上って、袂の中から五円紙幣を
掴み出すと、それをピリッと二つに千切って、その半分を運転手に渡した。そして、何ご....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
らんかと、ちゃんとふだんから軍費は用意してあるんだと、腹巻からこれがざく/\札を
掴み出す奴だ。」 「…………」 「で、行ったのは宮戸座の裏の待合。――まァ先生し....
「日本文化の特殊性」より 著者:戸坂潤
のでなくてはならぬ。そうしたものを共通的に説明するもの、又そうしたものを特徴的に
掴み出すもの、それが教学で観念であることを識る人は知っているだろう。 教学とい....