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掴む
「掴む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掴むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「初雪」より 著者:秋田滋
、しばしの間、この凍り切った粉雪のなかに坐っていた。そればかりではない。手に雪を
掴むと、これでもかと云わぬばかりに、それを自分の胸に擦りつけるのだった。 それ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ど彼の目を信じなかった。が、両手にさわって見ると、実際両脚とも、腿から下は空気を
掴むのと同じことである。半三郎はとうとう尻《しり》もちをついた。同時にまた脚は―....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
だ。感銘そのものの誤は滅多にはない。「技巧などは修辞学者にも分る。作の力、生命を
掴むものが本当の批評家である。」と云う説があるが、それはほんとうらしい嘘だ。作の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
る哉である。真理を求むる者のみが、大盤石の上に立って居る。 問『いかにして真理を
掴むか。』 心の準備――真に求むる者にして、最後に真理を掴まぬものはない。但し....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
る不安を得ようとも、それに忍んで両極を恐れることなく掴まねばならぬ。若しそれらを
掴むのが不可能のことならば、公平な観察者鑑賞者となって、両極の持味を髣髴して死の....
「活人形」より 著者:泉鏡花
るにぞ、婦人は少し枕を上げて、窓をあおぎ見たる時、八蔵ぬっと顔差出し、拳に婦人を
掴む真似して、「汝、これだぞ、と睨めつくれば、連理引きに引かれたらむように、婦人....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
海鼠を干したように乾いて来て、舌が硬って呼吸が発奮む。わなわなと震える手で、畳を
掴むように、うたいながら猪口を拾おうとする処、ものの本をまだ一枚とうたわぬ前、ピ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
伸して、何か包みかけていたのは習字の教師。向うに仰様に寝て、両肱を空に、後脳を引
掴むようにして椅子にかかっていたのは、数学の先生で。看護婦のような服装で、ちょう....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ではござりませぬよ。 嘉吉の奴がの、あろう事か、慈悲を垂れりゃ、何とやら。珠は
掴む、酒の上じゃ、はじめはただ、御恩返しじゃの、お名前を聞きたいの、ただ一目お顔....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
が、お雪さん、人が悪いという処へ推して行くのは不可ない。何も、妖物が出るの、魔が
掴むのということは、目の前にあるとも思わないが、昔からまるで手も足も入れない処じ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
遁げる。 よだれを垂々と垂らしながら、占た! とばかり、やにわに対手の玉将を引
掴むと、大きな口をへの字形に結んで見ていた赭ら顔で、脊高の、胸の大きい禅門が、鉄....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ぼみもせず、高くもならず、他愛なくほろほろと崩れると、また傍からもり添える。水を
掴むようなもので、捜ればはらはらとただ貝が出る。 渚には敷満ちたが、何んにも見....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
を開けると、友染を着た鴎のような舞子が二三羽ひらひらと舞込んで、眉を撫でる、鼻を
掴む、花簪で頭髪を掻く、と、ふわりと胸へ乗って、掻巻の天鵞絨の襟へ、笹色の唇を持....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
その腹帯の端に、キラキラと、虫が居て、青く光った。 鼻を仰向け、諸手で、腹帯を
掴むと、紳士は、ずぶずぶと沼に潜った。次に浮きざまに飜った帯は、翼かと思う波を立....
「多神教」より 著者:泉鏡花
年四十ばかり、色白く肥えて、鼻下に髯あり。落ちたる鉄槌を奪うと斉しく、お沢の肩を
掴む。 神職 これ、婦。 お沢 (声の下に驚き覚め、身を免れんとして、階前には衆....