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掻き上げ
「掻き上げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掻き上げの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
劫《おびやか》して、盗人を働いたなどとは云われたくない。」
女は顔にかかる髪を
掻き上げながら、鮮《あざやか》な微笑を浮べて見せた。「それでは御待ちになるがもの....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
」と、その枕もとになまめかしく膝をくずしている若い女房が、鬢《びん》のおくれ毛を
掻き上げながら言った。 「あの御仁《ごじん》もこのような席へは余り近寄られぬ方じ....
「ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
ったい顔は削られたように痩せて尖って、櫛巻にしているらしい髪の毛は一本も乱さずに
掻き上げられていた。その顔の色は気味の悪いほどに白かった。 「旦那、旦那。」と、....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
飽くまで軟柔の感触を楽んだ。 小初は掘り下げた櫓台下の竪穴から浅瀬の泥底へ水を
掻き上げて行くと、岸の堀垣の毀れから崩れ落ちた土が不規則なスロープになって水底へ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
艫を漕ぐ女の姿が見えて来た。いよいよ近く漕ぎ寄って来た。片手を挙げて髪のほつれを
掻き上げる仕草が見える。途端に振り上げた顔を月光で検める。秀江だ。復一は見るべか....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
い子供のようなお辞儀だ。お辞儀のリズムにつれて長髪が颯と額にかかるのを氏は一々|
掻き上げる。一芸に達した男同志――それにいくらか気持のふくみもあるような――初対....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ったい顔は削られたように痩せて尖って、櫛巻にしているらしい髪の毛は一本も乱さずに
掻き上げられていた。その顔の色は気味の悪いほどに白かった。 「旦那、旦那。」と、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
身が、焔のような激情的なものに包まれているかの感じがするのだった。頭髪を無雑作に
掻き上げて、耳朶が頭部と四十五度以上も離れていて、その上端が、まるで峻烈な性格そ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
山を離れて、平野の方から、山に向ってひた吹きに吹きつけた。峰の松原も、空様に枝を
掻き上げられた様になって、悲鳴を続けた。谷から峰の上に生え上って居る萱原は、一様....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
れたが、細い首には保ち兼ねるようなたっぷりと包ませ、パラリと下がった後れ毛を時々
掻き上げる細い指先が白魚のように白いのだけでも、男の心を蕩かすに足りる。なだらか....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ずれも、傷の末端が、V字型をせずに、不規則な星稜形をなしていて、何か棒状のもので
掻き上げたような、跡を留めているのだった。即ち、以上四つの創傷に就いて、その生因....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
ねえのだ。俺はこれで溜飲が下ったぞ。これですっかり好い気持だ。どれどれ最少し鰻を
掻き上げねえと、酒代が出て来ねえや」 悪僧は再び手桶を提げて、蘆の間に忽然と姿....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、光来なさいまし、何ぞ御用。と得右衛門居住い直して挨拶すれば、女房も鬢のほつれ毛
掻き上げつつ静まりて控えたり。銀平は八蔵に屹と目注せして己はつかつかと入込めば、....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
・神町・楯岡以北、まただんだんと雪が多くなっている。平地では約二尺、線路の両側に
掻き上げた所では、八尺くらいの高さの所がある。民家の屋の棟から掻き落した雪は家を....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
は真青になって下唇を噛み、恨めしそうに赤星を見ながら、顔にかかる遅れ毛を耳の後へ
掻き上げた、その細い指には眩しいようなダイヤの指輪が輝いていた。 「何の証拠もな....