掻き乱す[語句情報] » 掻き乱す

「掻き乱す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掻き乱すの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
街頭の偽映鏡」より 著者:佐左木俊郎
かっていたのであった。 吉本はそれを見届けておいただけで、彼らの平和と幸福とを掻き乱すようなことはしなかったが、鉄管工場のほうを追い出されてみると、やはり秋川....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
金と藍《あい》に光る傍《かたわら》に、ころりんと掻《か》き鳴らし、またころりんと掻き乱す。宗近君の聴いてるのはまさにこのころりんである。 「眼に見るは形である」....
冬日記」より 著者:原民喜
。長い間、人なかに出たことのない彼にとっては、人間の臭いの生々しさが、まず神経を掻き乱すのであった。……ふと、昼間の光景が睡《ね》つけない闇《やみ》の中に描かれ....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
反駁もしなかった。彼には、とりまとめ得ないほど、動揺している老父の感情を、この上掻き乱すに忍びなかったのである。それに、いくら弁解しても、互に理解し合えない或る....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
もこの少年が、私に与えた驚きと疑いは、今まで実験の事で一ぱいになっていた私の頭を掻き乱すに十分……十二分であったからである。だから一刻も早くこのような妙な来客を....
博物誌」より 著者:岸田国士
はみんな一緒になり、ぐるぐる飛び回る。が、その羽搏きも、凍りついた空気をほとんど掻き乱すか乱さないかである。 向うの方では、鴉の修道僧の群れが、秋|蒔きの種子....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
だろう? 意味をなさない言葉ではないか……それにしてもこれはどうしたのだ? 胸を掻き乱す芳香は!」 ※いているのでもなければ香料を身につけているのでもなくて、....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
た。彼女が一生のうちに経験した危険や憂慮は、それだけでもっとも強壮な人間の健康を掻き乱すに充分だったにちがいない。だが、エリザベスの場合では、じつは神経状態にあ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
恐ろしい夢に驚かされる。 己のこの胸のうちに住んでいる神は 心の深い底の底まで掻き乱すことは出来るが、 己のあらゆる力の上に超然と座を占めている神は、 外界の....
黒田如水」より 著者:吉川英治
っても決して宥りなどしなかった。宥れば宥るほどかえって彼女の女ごころをとめどなく掻き乱すからであろう。つねには嫁にやさしい舅御であるこの人が、ここ十日ほどは鬼の....
妖影」より 著者:大倉燁子
死んでいるのに、目だけが生きている、といった感じだが、その寂しい美しさが私の心を掻き乱すのだった。今までにこれほど恐しい魅力のある眼に出会った事がなかった。私は....
美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
いる際でもあったので、こんな煩わしい、偽か真実かさえも分らぬような話で、夫の頭を掻き乱すに忍びなかった、たとえそれが事実であったとしても、全く一時の過失に違いな....