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描き出す
「描き出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
描き出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
私を解放しなかった。私が都会を想い浮かべるごとに私の「疲労」は絶望に満ちた街々を
描き出す。それはいつになっても変改《へんかい》されない。そしてはじめ心に決めてい....
「富士」より 著者:岡本かの子
また一つの気体の別山なのではあるまいか。南の海の※螺《ごうら》が吐くという蜃気が
描き出す幻山のたぐいではあるまいか。幻山を証拠立てるよう塩尻がたの尖から何やら煙....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
て春ごとに幾百株の桜を植え、芝居の「鞘当《さやあて》」の背景に見るような廓の春を
描き出すことになったのは、この物語の主人公が亡《ほろ》びてから二十年余の後であっ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
力に悩まされているとさえ見える妹の寝顔は、明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を
描き出す。この老人の老い先をどんな運命が待っているのだろう。この処女の行く末をど....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
お前は段々私から離れて行って、実質のない幻影に捕えられ、そこに、奇怪な空中楼閣を
描き出すようになる。そして、お前の衷には苦しい二元が建立される。霊と肉、天国と地....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
雲中で太陽系の進化が始まるとしたときそれがいかなる経過をとるかということの概念を
描き出すことができる。そうして得られた新しい説はビュッフォンの説とラプラスの説と....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
れかが、折々|気紛れの鳥影の映すように、飜然と幕へ附着いては、一同の姿を、種々に
描き出す。…… 時しもありけれ、魯智深が、大なる挽臼のごとき、五分刈頭を、天井....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ズさん、そうして伸子の嘘を訂正してゆくうちに、ふと僕は、当時あの室に起った実相を
描き出すことが出来ました。と云うのは、伸子が『聖ウルスラ記』を取り出そうとして、....
「海」より 著者:梶井基次郎
チラッと見せてくれるような瞬間だ。 そういうようなものを今の僕がどうして精密に
描き出すことができよう。だから僕は今しばらくその海の由来を君に話すことにしよう。....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
。どんな画家でも、こんな性格と弱さとが妙に混淆したところのものを、その内面的から
描き出すことは、なかなかむずかしいことであったろう。睫毛の垂れた不活発そうな物憂....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
われらが手に落ちた。そして――と横蔵は、ふと恋のなかった自分の過去を、あれこれと
描き出すのだった。 それから、小半刻ばかりののちに、女はどうやら精気を取りもど....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
しんと光が差し込んでくるのです。 ふと僕は、その後の艇長に、世にも奇異な生活を
描き出すことができました。まったく結果だけを見たら、それが、あのまたとない一人三....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
践に脆くも失敗して行ったのである。彼等の才能の不足もさることながら、虚構の群像が
描き出すロマンを人間の可能性の場としようという近代小説への手の努力も、兎や虫を観....
「楠公夫人」より 著者:上村松園
。 私の理想の天女を、幾人も描きたいのであるが、理想の中の天女も、いざ筆の先で
描き出すとなると、なかなか思うようには出て来ないものである。 湊川神社の楠公夫....
「健康と仕事」より 著者:上村松園
であった。別に眠るまいと決心して頑張った次第ではないが、締切日が迫って来たのと、
描き出すとこちらが筆をやめようとしても手はいつの間にか絵筆をにぎって画布のところ....