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揚板
「揚板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揚板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
云う。 静かな声は落ついた春の調子を乱さぬほどに穏《おだやか》である。幅一尺の
揚板《あげいた》に、菱形《ひしがた》の黒い穴が、椽《えん》の下へ抜けているのを眺....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
上に大いなる泥足を上げて二足《ふたあし》ばかり進んだ模様である。三足目と思う頃|
揚板《あげいた》に蹶《つまず》いてか、ガタリと夜《よる》に響くような音を立てた。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の上あらためて家捜しをすることになって、念のために床下までもあらためると、台所の
揚板の下には炭俵が二、三俵押し込んである。その一つのあき俵のなかに首を突っ込んで....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い。これ、お前たちに掛けちゃ、己の目は暗でも光るよ。飯田町の子分の内には、玄関の
揚板の下に、どんな生意気な、婦の下駄が潜んでるか、鼻緒の色まで心得てるんだ。べら....
「相馬の仇討」より 著者:直木三十五
ってないやつで頬冠り、跣足《はだし》のまま塀を乗越えて忍び込んだ。床下から勝手の
揚板を上げて居間へ、廊下から障子へ穴をあけて窺うと行灯《あんどん》を枕元に眠入っ....
「魚の序文」より 著者:林芙美子
僕だって、小刀の一ツも投げたくなるよ。――炭俵《すみだわら》に入れられて、一日|
揚板《あげいた》の下へ押《お》し込《こ》められた事があったッて君は云っていた事が....
「乳房」より 著者:宮本百合子
!」 ひろ子は、髪を編下げにし、自分に合わせては派手な貰いものの銘仙羽織を着て
揚板のところにしゃがんでいるのであったが、 「――困ったナ」 とバットに火をつけ....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
超ソプラノが、一斉に「キャーッ」と湧起ったと思うと、若い女の白い肉体が四ツ五ツ、
揚板をメクられた溝鼠みたいに、奥の方へ逃込んで行った。 お客様を見てキャーッと....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
上げた友吉おやじは又も、 「へへへへへへへ……」 と笑いながら、今一つの爆弾を
揚板の下から取出して導火線に火を点けた。それを頭の上に差し上げて、 「……コレ外....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
饅頭の蒸籠を転覆す、煎餅の壺が落ちる、今坂が転がり出すという大騒ぎ。商人の店先は
揚板になって居て薄縁が敷いてある、それへ踏掛けると天命とは云いながら、何う云う機....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
とずうと本堂の方へ引摺って行きまして、居間から直ぐ傍の本堂の前の畳を二畳上げて、
揚板を払って明けるから海禪驚きまして、 海「其処を明けてはならん」 半「此の中へ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
公式の鹵簿《ろぼ》を拝観させようと心配してくれた。 うなぎやの親方は、私の父に
揚板《あげいた》の下の鰻《うなぎ》を見せて、あらいのを笊《ざる》にあげて裂いた。....
「白血球」より 著者:豊島与志雄
廻ってみた。其処は台所の煤けた壁だった。妙だな、と思う心が好奇心に変って、台所の
揚板を二三枚めくって、押入の下に当る方を覗き込んだ。薪束の転ってる向うに、蜘蛛の....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
か何か貰《もら》おうよ。」と清岡進は抱えていた新刊雑誌と新聞紙とをテーブルの下の
揚板《あげいた》に押入れ、新しい鼠色《ねずみいろ》の中折帽《なかおれぼう》をぬい....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
済んだ。公園の六代目の家のことで、私が一番はっきり覚えていることは、宏大な台所の
揚板の下に平野水の瓶が列をなしていたことである。六代目はウィスキイが強かった。 ....