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揚棄
「揚棄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揚棄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
の砕《くだ》けるまで闘わなければ済まない。恋《こい》なぞ、という個人的な感情は、
揚棄《アウフヘエベン》せよ。それが、義務だという声もきこえる。それより、ぼくも棄....
「ニイチェに就いての雑感」より 著者:萩原朔太郎
、結局やはりショーペンハウエルの変貌した弟子にすぎない。彼はショーペンハウエルが
揚棄した意志を、他の一端で止揚したまでである。あの小さな狡猾さうな眼をした、梟の....
「ソヴェト文壇の現状」より 著者:宮本百合子
、立体的にそして現実的に。――革命当時のプロレタリア文学の作品がもっている類型を
揚棄しなければならない時期になった。プロレタリア作家が古典や外国文学を勉強してい....
「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」より 著者:宮本百合子
者が、芸術と生産の間にブルジョア文化がもっていたような分裂へ逆転して、既成作家が
揚棄しようとしている欠点を自分達の文学修業の出発点としたりするようなことがあれば....
「今日の文学の鳥瞰図」より 著者:宮本百合子
ィアによって作られて来た。プロレタリア文学は、日本の事情の下ではその出生の階級を
揚棄しようとするインテリゲンツィアと勤労階級の中からの少数の知識分子とによって作....
「前進のために」より 著者:宮本百合子
ものが固定的に扱われていた。同志小林が敵に虐殺されたことによって、自身の未完成を
揚棄し得たかのように考えるとすれば、それは階級的前衛に加えられる敵の悪虐の真相を....
「作家研究ノート」より 著者:宮本百合子
るのは、ゴーリキイの社会的実践によってそれ等の矛盾が如何により高きものに統一され
揚棄されて、今日の彼になっているかという点である。作家研究にあたって私に感じられ....
「政治と作家の現実」より 著者:宮本百合子
術家・諸市民が、自身の生活的実感において国際的になりつつある、その現実からこそ、
揚棄されてゆくのである。 ソヴェトの人民国家が、あらゆる偏見の内部においてさえ....
「幸福の感覚」より 著者:宮本百合子
的な、しかしきわめてその社会の基本的なありようと関係しあった特殊性を高めひろげ、
揚棄して行って、いつかは人間の幸福についての具体的な条件の一つとして、女の幸福が....
「新しい一夫一婦」より 著者:宮本百合子
どの後、運動の困難と再建の事業が集注的関心となった時代には、コロンタイズムは一応
揚棄され、運動のためにはあらゆる個人の感情、個人生活の利害を犠牲にしなければなら....
「学生と読書」より 著者:倉田百三
、その知的胃腑を満たし、また思考力を操練せねばならないとき、知性の拡充よりもその
揚棄を先きに説かんと欲するものではない。しかしながら知性そのものにもその階層があ....
「昭和四年の文壇の概観」より 著者:平林初之輔
表した横光利一もまた、今年度において特記すべき作家であろう。彼もまた、身辺小説を
揚棄して、客観的な世界に眼をむけたという点において、また、創作態度がなおざりでな....
「雑記」より 著者:種田山頭火
の望み、そしてその二つは、酒から茶へ転換することである。いいかえればアルコールを
揚棄したい、飲まずにはいられない酒を、飲んでもよい酒としたいのです。前者は訳なく....
「尊攘戦略史」より 著者:服部之総
派が、その藩士もしくは浪士としての階級的本質から不可分な運命にあった「攘夷」を、
揚棄した秘密を解くためには不可欠の鍵である。さらに、改良派ブロックの盟主であり、....
「福沢諭吉」より 著者:服部之総
一直接の契機はただこれに在った。福沢がインテリたり、ドン・キホーテたる旧境を一躍
揚棄できた飛込台はこれであった。 あとはすべてそこからの当然の帰結にすぎない。....