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握り
「握り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
握りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
がら、冷たい両手に堅く、沙金《しゃきん》の手をとらえた。
彼らは二人とも、その
握りあう手のうちに、恐ろしい承諾の意を感じたのである。
五
....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
肉体の力が万一それに耐《た》えられなくなる場合を気づかった。そうして、かたく筆を
握りながら、何度もこう自分に呼びかけた。
「根かぎり書きつづけろ。今|己《おれ》....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
僚の一人二人と一しょに、やはり一ひしぎにつぶされた学校の外の仮小屋で、炊き出しの
握り飯を手にとった時とめどなく涙が流れた事は、未だにどうしても忘れられません。
....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
も相当に面白く出来ているようです。」
子爵は小声でこう云いながら、細い杖の銀の
握りで、硝子戸棚の中の絵をさし示した。私《わたくし》は頷《うなず》いた。雲母《き....
「河童」より 著者:芥川竜之介
しょう。さあ、これを持ってお帰りなさい。」
「ありがとう。」
ゲエルは僕の手を
握りました。それから急ににやりと笑い、小声にこう僕に話しかけました。
「隣はわた....
「葱」より 著者:芥川竜之介
田中君は、例のごとく鍔広《つばびろ》の黒い帽子を目深《まぶか》くかぶって、洋銀の
握りのついた細い杖をかいこみながら、縞の荒い半オオヴァの襟を立てて、赤い電燈のと....
「猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
蟹《かに》の
握り飯を奪った猿《さる》はとうとう蟹に仇《かたき》を取られた。蟹は臼《うす》、蜂....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
い。」と云うより早く、後《うしろ》へ引き残した女の裳《もすそ》を、片手にしっかり
握りとめた。女は思わずそこへ倒れて、もう一度短い悲鳴を漏《も》らした。が、それぎ....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。葉子は震えを覚えるばかりに激昂《げきこう》した神経を両手に集めて、その両手を
握り合わせて膝《ひざ》の上のハンケチの包みを押えながら、下駄《げた》の先をじっと....
「或る女」より 著者:有島武郎
子などをやきもきしながらひねり回したり、膝掛《ひざか》けの厚い地《じ》をぎゅっと
握り締めたりして、はやる心を押ししずめようとしてみるけれどもそれをどうする事もで....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の存在が信じられない筈だとお察しすることができます。――と申して竜神さんの物語を
握りつぶせば、私として虚欺の通信を送ることになり、それも気がとがめてなりませぬ。....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
婆さんはちょいとためらったようです。が、忽ち勇気をとり直すと、片手にナイフを
握りながら、片手に妙子の襟髪を掴んで、ずるずる手もとへ引き寄せました。 「この阿....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
反って嬉しい気がするのです」 杜子春はまだ眼に涙を浮べたまま、思わず老人の手を
握りました。 「いくら仙人になれたところが、私はあの地獄の森羅殿の前に、鞭を受け....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
とうとうマルコの熱心に動かされてしまいました。そして「よし」といってマルコの手を
握りしめました。 「お前は今夜荷車の中でねるのだよ。そして明日の朝、四時におこす....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
雄が集まる東京に出るとも第二流には落つまじと俄かに気強くなりて、密かに我腕を我と
握りて打笑みたり。この頃の考えには学者政治家などという区別の考えはなく、豪傑英雄....