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揺する
「揺する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揺するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
日の暮れとともに風が出たらしい。舷《ふなべり》をうつ浪《なみ》の音が、まるで油を
揺するように、重苦しく聞えて来る。その音とともに、日覆をはためかすのは、おおかた....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
った。――と云うのは、天井の両側に行儀よく並んでいる吊皮《つりかわ》が、電車の動
揺するのにつれて、皆|振子《ふりこ》のように揺れていますが、新蔵の前の吊皮だけは....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
た養女のみち子が、蔵の入口に立ってそう云った。自分の感情はそっちのけに、養母が動
揺するのを気味よしとする皮肉なところがあった。「ゆんべもおとといの晩も自分の家へ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
夕陽のコロナに煽られている、周囲《ぐるり》の団子雲を見ていると、いつとなく(私は
揺する、感じる、私は
揺する)の、甘い詩の橙《オレンジ》が思い出されてきて、心に明....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
たちの役得と心得ている。たとえば、駕籠に乗った場合に、駕籠のなかで無暗にからだを
揺する。客にゆすられては担いでゆくものが難儀だから、駕籠屋がどうかお静かにねがい....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
明治三十六年に菊五郎と団十郎とが年を同じゅうして死んだ。これで劇界は少しく動
揺するだろうと窺っていると、内部はともあれ、表面にはやはりいちじるしい波紋を起さ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、古代時計室に行くまでの暗い廊下が、どんなに長いことだったか。恐らく、窓を激しく
揺する風も雪も、彼等の耳には入らなかったであろう。熱病患者のような充血した眼をし....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
が藪を突き進むがごときひびきを聞けり。その響きは突然に起こりて、草木のはげしく動
揺するを見たり。 「われらは鹿を狩りいだしぬ。かくと知らば旋条銃を持ち来たるべか....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
きいていた。 三 外の雪には風がまじって来たらしく、窓の戸を時どきに
揺する音がきこえた。雪や風には馴れているはずの野童が、今夜はなんだかそれを気にす....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
な、柔らかな砂上に横臥している。天候は、穏やかである。砂上にある艇も、ユラユラ動
揺することもない。 ところが、ふと、聴音器に推進機の響きが聴えてきた。 そこ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
ら降りようはないので、直芳は心着いて、青萱の中に眼を配った。そこの一部が少しく動
揺するのを認めて、さてはかしこに隠れたる曲者の仕業と、脇差で青萱を斬り斬り進んだ....
「妖怪学」より 著者:井上円了
るをいう。三本足はいたって動きやすきものにして、その左右に回転するにも、上下に動
揺するにも、最も適したる組み立てなり。別してその竹の長さを限り、その結ぶ所の点を....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
組み立てを有するをいう。けだし、三本足の組み立ては、左右に回転するにも、上下に動
揺するにも、最も適したるものにして、別して細き竹に重き蓋を載するがごときは、自然....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
お仲間が日本人の余り知らない傑作の複製を挿図した椿岳画伝を出版して欧洲読画界を動
揺する事がないとも限られない。「俺の画は死ねば値が出る」と傲語した椿岳は苔下に会....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
き込むかであった。私どもは幼年学校以来の教育によって、国体に対する信念は断じて動
揺することはないと確信し、みずから安心しているものの、兵に、世人に、更に外国人に....