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「揺られる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺られるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
足もとのたよりとなるころ、葉子は熱病患者のように濁りきった頭をもてあまして、車に揺られるたびごとに眉《まゆ》を痛々しくしかめながら、釘店《くぎだな》に帰って来た....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
と見た。それを小暗《おぐら》く包もうとする緑の奥には、重い香《か》が沈んで、風に揺られる折々を待つほどに、葉は息苦しく重なり合った。――この間宿の客が山から取っ....
琴のそら音」より 著者:夏目漱石
はないかと思って見ていると、その火がゆらりゆらりと盆灯籠《ぼんどうろう》の秋風に揺られる具合に動いた。――瓦斯灯ではない。何だろうと見ていると今度はその火が雨と....
」より 著者:徳田秋声
った。深山と気脈の通じているらしく思えるこの俳友B―に対する軽い反抗心も、腕車に揺られる息苦しいような胸にかすかに波うっていた。 ひっそりした二階の一室に通る....
」より 著者:徳田秋声
うな一場の光景が、今見た夢のなかへ現われていたことが疲れた頭に思い出された。風に揺られる蒼々した木立ちの繁みの間に、白々した路が一筋どこまでも続いていた。そこに....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
皇は或修行者の生れ代りにわたらせられて、其前世の髑髏《どくろ》に生いたる柳が風に揺られる度毎に頭痛を悩ませたもうたなどとさえ出鱈目《でたらめ》を申して居たことも....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
私の心は痺れたようになり、折々は無感覚になった。遂にはとうとう眠ってしまい、波に揺られる革舟の中で、私は横になって故郷と懐しい「|ベンボー提督屋」とを夢にみた。....
小さな旅」より 著者:富田木歩
汽船よりも大切な車夫である。 俥は曳き出された。足でつッぱることの出来ぬ身体は揺られるがまゝに動く。 私の俥は充分に外景を貪り得るように、能うだけの徐行を続....
生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
出産か分らない身体だった。もう予定の日を二週間もすぎている身体だった。俥なんかに揺られるのが一番危険だった。 「近いからゆっくり歩いてゆくわ。」と芳子は云った。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ろう、自分はまったく幸福になるだろう。海の音を聞くだけでも、その大きな声の響きに揺られるだけでも、あらゆる屈辱や小さな悲痛などは、ことごとく鎮《しず》められてし....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
もしその古い建物が、あたかも大地が熱に震えてるかのように、重い馬車の響きにたえず揺られることがなかったら、パリーの町であることを忘れてしまえるほどだった。 一....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ち並んだ庭の道の中で遊んだ。監視がきびしく罰が重かったにもかかわらず、果樹が風に揺られるような時には、青い林檎《りんご》や腐った杏子《あんず》や虫の食った梨《な....
北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
って進む。思いなしかわざと意地悪く道の端を歩くかのように、足どりにつれてグラリと揺られる私の身体は、何時も熊笹の生い上った深い山の傾斜の上につき出されているので....
凍るアラベスク」より 著者:妹尾アキ夫
になるわけではないと思って、勝子は狐につままれた心地で、ただぼんやりと、恰度波に揺られる気持で相手の言葉に耳を貸していた。愛の言葉と云うものは、たとえそれがどん....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
さまがしのばれる物さびた姿である。しわの深まるにつれ身も細りゆけば、ふたたび風に揺られるほどになるが、若いころの軽さではなく、あなた任せの落ち着いた揺られ方を見....